地域猫のフミちゃんは、暑さのピークが過ぎて以来、毎朝のようにエサをねだりにやって来るようになりました。出勤時、車を出す前にフミちゃんにちゅ~るをあげるのがほぼ日課になっています。
駐車場は、下が砂利になっていて、コンクリート製の車止めがあります。私はいつもその車止めの上にちゅ~るを絞り出して、それをフミちゃんがはっふはっふ言いながら食べるのを眺めています。
先日、その車止めの、いつもちゅ~るを絞り出すあたりの位置に、何やら細かい砂が散らばっているのに気がつきました。風で舞った砂が、ちゅ~るの残骸にへばりついたのかと思いましたが、ふと下のほうに目をやると、車止めと地面が接しているあたりに、こんもりと砂が盛り上がっていました。
さらに、その小さな砂山の周りを、アリがうろちょろしています。これは、アリの巣があるんだな。アリが巣を掘った時に出た砂を、巣穴の周辺に盛り上げているのです。すると、その砂山付近にいたアリが車止めの壁面を登り始め、やがてフミちゃんが食べ残した、というか舐めきれなかったちゅ~るの残骸に辿り着きました。
なるほど、このアリの巣は、毎日のように供給されるちゅ~るを原資として建設された、いわばちゅ~る王国なのだな。
フミちゃんは目が悪いので、間近にあるエサを見つけるのに、鼻で探る必要があります。それでも見逃すことがよくあり、どうしても舐めきれないちゅ~るが、車止めの上に残ることになります。それが毎日のように車止めの上に供給されるわけですから、アリにしてみれば濡れ手で粟。なんだか知らないけど、食べつくしたはずのエサが毎朝復活している!ここは天国か!よっしゃ、ここに我らのキングダムを作ろうではないか!なんて言ったとか言わないとか。
アリってたしか、女王アリを中心にした社会ですよね。とするとやっぱりあれはキングダム。ちゅ~るキングダムですね。いや、女王だからクイーンダム?ちゅ~るクイーンダムだ。
ちゅ~るクイーンダムは、フミちゃんが食べ残すちゅ~るによる空前のちゅ~るバブルが生み出した女王国。石と砂ばかりの荒れた土地に、突如として現れた謎の国。天から降ってくるちゅ~るだけが、彼らの糧。
私は図らずも、地域猫と一緒に地域アリも養っていることになるのでしょうか。
もし、フミちゃんがまたしばらく姿を消して、あそこでちゅ~るを食べなくなったら、あのちゅ~るクイーンダムはどうなるんでしょう。廃墟を残してみんなどこかへ旅立つのかな。まるで古代遺跡のように、栄えた都市の残骸だけが残る不毛の地となり果てるのでしょうか。
ちょっとしたロマンを感じますね。
……そうでもないか。
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