今朝、通勤途中で通った、田んぼの真ん中を走る道の端に、何か落ちていました。
その何かの横にカラスがいました。
近づいていくと、その何かは、黒っぽい色と、赤、ピンクがごちゃごちゃした色でした。
ああ……何かの死骸だ。猫かなぁ。猫はやだなぁ。
車はどんどんその死骸に近づいていきます。見たくないけど見てしまう。
カラスは、その死骸をついばんでいたのでしょう。車が近づいたので少し逃げましたが、ほんの1歩か2歩で、車が去ったらすぐまたその死骸を頂こうとしている様子でした。
その死骸は、黒っぽいものがいくつかに割れて、そこからピンクの肉塊がはみ出している状態でした。すぐにはそれが何なのかわかりませんでしたが、どうやらカメのようでした。カメが車に轢かれて、甲羅がバッキバキに割れたのでしょう。
田んぼのすぐそばで、近くには用水も流れています。カメはそこから出てきて、道を渡ろうとして車に轢かれたのでしょう。気の毒なカメ。
カラスは、気の毒なカメの死骸を、当然のように朝食としてついばんでいました。そりゃそうです。カラスにしたら、労せずして新鮮な肉を食べられるチャンス。放っておくわけがありません。
カメの死骸をついばんでいたカラスは、その時は1羽だけでしたが、そのうち他のカラスも見つけて、何羽も集まってすぐにカメの死骸は片づけられるのでしょう。カラスは自然界の掃除屋です。昔は、戦争や病気、飢餓で死んだ人間も、たくさんカラスに片づけられたと思います。
おそらく、ほんの数時間前まで、生きてのそのそ歩いていたカメは、突然の交通事故で死に、その肉体をカラスに食べられることになったわけです。
カメの死は、カラスの生に取り込まれました。そのカラスもいずれどこかで死を迎え、動物の餌になるか、木や草の肥やしになるのでしょう。
残酷、悲惨、無情といった、人間の感覚とは関係なく、淡々と循環する生がありました。