心は空気で出来ている

空気を読むな、呼吸しろ。

燃えるゴミの日、カラスがヒャッハー。モーニングパーリーピーポー!

パーリーピーポーエイリアン

「ワレワレハ シンリャクノ ヒーロー

 コノセカイヲスクウ パーリーピーポー

 昨日は仕事が休みだった。

 朝は普通に起きるのだが、だいたい昼頃まで、録画したアニメを見てゴロゴロする。

 燃えるゴミの日だったので、嫁さんにゴミ出しを頼まれた。頼まれなくてもゴミを出すのは私の仕事。適当に返事をして、仕事に行く嫁さんを見送り、またアニメを観る。

 気がつくと、ゴミの収集時間はとっくに過ぎていた。マズい。

 まだ収集されていませんように……と祈る気持ちで、慌ててゴミ捨て場まで燃えるゴミの袋を持って行った。場所は家から20mくらいの近さなので、歩いてもすぐに着くが、建物の死角になっていて、道路からは見えない。

 ゴミ捨て場がある道の角の建物を回り込むと、果たしてゴミはまだ収集されていなかった。

 ホッとしたかったのだが、そこで繰り広げられている光景を見て、ゾッとした。

 10羽以上、いや20羽ちかい数のカラスの群れが、ゴミを漁って散らかしていたのだ。

 ゴミ捨て場には、ちゃんと網が設置されていて、捨てたゴミには網をかぶせて、カラスに荒らされないようにという決まりがある。どうやら今日はそのルールを守らなかったか、網のかぶせ方がテキトーな人がいたようだ。

 今まで、1羽か2羽のカラスが、網からはみだしたゴミを漁っているのは見たことがある。人が近づくと、すぐそばの建物の屋根に逃げて、様子を伺っていたりする。しかし、このゴミ捨て場に、これだけの数のカラスが集まっているのを見たのは初めてだ。まさか、たまに来ている1羽か2羽が、仲間を呼んだのではあるまいな。

 散乱したゴミの中で、真っ黒なカラスがあっちへ飛びこっちへ飛び、ゴミをついばんだり、ゴミを巡ってお互いをけん制したり、カーカー鳴いたり、大騒ぎだ。

 これではまるで……パーリーではないか。こいつらカラスのくせに、朝っぱらからパーリーピーポーか。こんな片田舎のゴミ捨て場で、パリピを気取るとはちょこざいな。こっちは朝から一人で部屋にこもってアニメ観てるっていうのに、みんなで集まってモーニングパーリーかよ。セレブかよ。

 少し腹が立ったので、ゴミ袋を持ち上げて、カラスの群れめがけて突っ込んでいった。驚いたカラスたちは一斉に飛び立ったが、解散するわけではなく、近くの建物の屋根や、電線に止まってこちらの様子を見ている。俺がいなくなったら、またパーリーを再開するつもりだな。そうはいかんぞ。

 一旦、家に戻って、箒とゴミ袋を持ってきた。案の定、カラスたちはパーリーを再開していたので、箒をぶん回しながら追い払い、散乱したゴミを箒でかきあつめて袋に入れ、きっちり縛って網の下に入れた。ゴミ捨て場には、網をめくられないための、水入りペットボトルが常備してあるので、それで網の端をしっかり押さえた。これでまたカラスが戻ってきても、荒らされることはないはずだ。

 カラスが解散するまで、その場でゴミの番をしようかとも思ったが、あいつらは人の顔を覚えていて、仕返しをすることがある。顔を覚えられないよう、早々に家に戻った。

 今朝、仕事に出かけようと車に向かうと、ボンネットに鳥の糞が派手に飛び散っていた。これがカラスの仕返しなのかどうか、犯人はわからない。家の近辺にはハトもいれば、ムクドリヒヨドリもたくさんいる。この糞がカラスのものだと断定することはできない。できないが、昨日のこともあるので、ちょっとカラスを疑っている。

 カラスが嫌いなわけではないし、お尻をフリフリ歩く姿は可愛らしいとさえ思うが、群れになるとちょっと怖い。子どもの頃に日曜洋画劇場で観た、ヒッチコックの『鳥』を思い出すのだ。

 ゴミは荒らされないように、ちゃんと網をかぶせよう。

 ということで、今日の話はおしまい。

鳥 (字幕版)

鳥 (字幕版)