心は空気で出来ている

空気を読むな、呼吸しろ。

ななつ七癖スベり癖

〈ANIMEX1300 Song Collection シリーズ〉(4)いなかっぺ大将ヒットアルバム~わしはいなかっぺ大将だス~

 人それぞれ、いろいろな癖があるもので、私の場合は「スベり癖」とでもいうような悪癖がある。

 このブログを継続的に読んでくださっている方には、薄々バレているかもしれない。薄々?

 日常の会話の中でも、時折この癖が出る。

 ふっと、何か面白いこと、シャレの効いたことを言おうとして、どんズベる。いや、スベるならまだマシか。相手が「こいつ今面白いこと言おうとしてスベったな」と思ってくれればまだいいほうで、だいたい「何言ってんだこいつ?」という空気が流れて、そのまま次の会話に押し流されていく、というパターンが多い。

 自分自身、言った後で「何言ってんだ俺?」と思うくらいだから、いわんや聞く側の身においてをや、である。

 たまに、面白いことや、シャレの効いたことの裏を張って、明らかにスベりそうなことを、わざと言うこともある。あえてくだらなさで笑いを取るスタイルである。しかし、これもまた往々にしてスベる。

 このように説明すると、計算ずくで笑いを取ろうとしているように読めるかもしれないが、実はそうではない。会話の中で何かを思いつき、これは面白いんじゃないかと思い、実際に口に出す。この流れは稲妻よりも速い一瞬であり、一連のシーケンスというよりは、ひとつのひらめきとして認識される。

 要するに、気づいた時には口から出ているのだ。その瞬間の意識の動きを、あとからトレースすると、思いつき、判断、発語、という流れに分解されるだけなのだ。そしてこの流れも、後付けの理屈でしかないかもしれない。つまり、スベったことに対する言い訳として理屈を作っているだけかもしれないのだ。

 喋った後で、なぜあんなことを言ってしまったのかと思うことは、スベる以外にもある。一応、反省はする。しかし、その反省が生かされることはない。なぜなら、失言もスベるコメントも、考えた結果として出てくるのではなく、思考のプロセスを経ず、何の予告もなく口から出てしまうからだ。

 いや、予告がないとも言い切れないか。口から出てくるほんの一瞬前には、頭の中に湧いて出るから。しかし、その内容が面白いかどうか、今この場面で適切かどうかという判断を介することはない。思考の検閲を通ることなく、強力な権限でもって発動され、直に口を突いて出る。一体これは何なのだろう。どこからの命令で発言されるのだろう。

 私の意志を通さず、意識外の別ルートから口を突いて出る言葉。言葉以外にも、しぐさや歩き方、ものの食べ方など、いわゆる無意識に出る行動パターンがある。それを「癖」の一言で片づけるのは容易だが、私の意志よりも上位の命令系統が、独自のプロセスで動いていると考えると、不思議な感じがする。

 このブログも、果たして私の意志で書いていると言えるのかどうか……それを考えると、夜も眠れなくなっちゃう。いや、そうでもない。意外と眠れちゃう。

 癖って怖いね、という話でした。

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