先日、町内の文化祭が出張所で催され、そこに息子氏の作品が並ぶというので見に行きました。
まだ早い時間帯だったので、あまり人はいません。そこに、息子氏の保育園時代からの同級生のお母さんと、その弟くんが入ってきました。
私が以前、その弟くんを見た時は、まだほんの赤ちゃんだったので、いつの間にか大きくなったねぇなどと二言三言交わして、またそれぞれに自分の子どもやその友達の作品を見ていました。
それからもうひとり、外国人のお母さんが展示室に入ってきました。目だけを出して、他はすっぽり覆われた、真っ黒な民族衣装を着ていました。
後で調べてみたら、それはアラビア半島の民族衣装で「ニカブ」というものでした。
息子氏のクラスにもイスラム系の同級生が数人いるので、ヒジャブを着用してくるお母さんも珍しくありません。
しかし、ニカブを着けてきた人は初めて見ました。テレビでは中東のニュースなどでたまに見かけますけどね。
すると、さっきの弟くんが彼女を見て
「お母さん見て、ニンジャが来たよ」
興奮半分、怖さ半分くらいの口調で言いました。
お母さんは静かに
「シッ」
と答えただけでした。
私は思わず吹き出しそうになりましたが、ニカブのお母さんに失礼かと思ってぐっとこらえました。
確かに、真っ黒で目だけが見えている衣装は、子どもから見たら忍者以外の何物でもありません。
私はその弟くんの言葉を聞いて、なるほど確かにニンジャだわ、と思いました。
ニカブ姿のお母さんは、あの時自分がニンジャと思われたことを理解していたのかどうか。日本に住んでいるわけだし、ニンジャは世界中で有名ですから、内心では
「うわー、ニンジャって言われた」
と思っていたかもしれませんね。
日本で子育てをしているなら、小さい子がいる場所に行く機会もあるでしょう。そうなると、今までにもニンジャと言われたことがあったかもしれません。
自分の国の伝統衣装を着ていて、日本で「ニンジャ」と言われることを、彼女はどう感じていたのか、ちょっと知りたい気がしました。