心は空気で出来ている

空気を読むな、呼吸しろ。

セグロセキレイの距離感

 私は普段、とある工場に勤務しています。

 その工場の敷地内や駐車場に、セグロセキレイという小鳥がよくたむろしています。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/b6/Japanese_wagtail_in_Suita%2C_Osaka%2C_December_2016_-_205.jpg/250px-Japanese_wagtail_in_Suita%2C_Osaka%2C_December_2016_-_205.jpg

 チュピー!チュピー!と鳴くやつ。街中のアスファルトの路上にもいたりするので、結構メジャーな鳥だと思います。

 真っ黒な背中の雄と、灰色の背中の雌が、一緒だったり別々だったりでウロチョロしています。

 こいつはわりとパーソナルスペースが狭いらしく、スズメに比べて近くまで人の接近を許します。一応警戒はしているのですが、こちらが歩いていると無駄に近寄ってきたりします。単に向こうが行きたい方向に、たまたまこちらが歩いてきた、というだけなのでしょうけど。

 今日は一日中雨が降っていて、敷地内の芝生の部分にも水たまりができていました。その水たまりでセグロセキレイが水浴びをして遊んでいました。忙しい仕事の合間に、こいつらを見かけると、ほっこりと気分が和みます。

 それが今日、たまたま用があって、普段は立ち入らないボイラー室の近くに行くと、セグロセキレイがやたらうるさく鳴いて、すぐ近くの配管の上に止まってこちらを見ながら「チュピー!チュピー!」と騒いでいました。

 ボイラー室の近くは、様々な太さの配管が縦横無尽に走っていて、その配管の上を、私が移動するのに合わせて飛び移りながら、やたらと騒ぎ立てます。どうやら私を追い払おうとしているような雰囲気。

 おそらく、ボイラー室付近のどこかに営巣しているのでしょう。配管が入り組んだ場所は、彼らにとって、木々が生い茂る林と似たようなものなのかもしれません。

 ちょうど私の目線の高さの配管に止まって、手が届きそうな距離で激しく鳴くセキレイを見て、いつもの勝手気ままな姿とは異なる真剣さを感じました。人間に捕まるかもしれないリスクを冒してまで、自分の巣を守ろうする気迫のようなものを感じました。

 工場の敷地内を、ただ好きなようにウロチョロしているだけの、可愛い小鳥というイメージでしたが、こいつらにも守るべき生活があるんだな、と思った一コマでした。