『ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風』34・35話「鎮魂歌(レクイエム)は静かに奏でられる」の感想です。
かつて、空条承太郎たちと共に旅をしたジャン=ピエール・ポルナレフ(ベルモンドでもミッシェルでもありません)が、スタンドを生み出す矢を携えて、ジョルノたちの前に現れます。現れるっていうか、現れる前に敵ボスであるディアボロに殺されてしまうのですが。
殺される直前、自らのスタンドに矢を使い、暴走したスタンド「シルバー・チャリオッツ・レクイエム」を生み出します。そのスタンド能力によって、その場に、いやその街にいた人たちがみな、精神を入れ替えられてしまいます。そう、古くは『転校生』、最近だと『君の名は』で知られる、精神の入れ替わりイベントが発生します。
ポルナレフの魂は、それまでジョルノたちを隠していた鍵つきの亀に移り、ジョルノはナランチャと、ミスタはトリッシュと、そして半ばゾンビと化していたブチャラティは、ディアボロと魂を入れ替えられてしまいます。
ここで、アニメとしての見せ場が出来上がります。魂が入れ替わったキャラクターたちは、それぞれ入れ替わった先の肉体が持つ声で喋ることになります。つまり、それぞれのキャラを演じていた声優さんたちは、それまで演じていたのとは別の、入れ替わった中身のキャラクターを演じなければならない、ということです。
ジョルノはジョルノの声でナランチャを演じることになり、ナランチャはナランチャの声でジョルノを演じ、ミスタはミスタの声でトリッシュを、トリッシュはトリッシュの声でミスタを、ディアボロはディアボロの声でブチャラティを演じる、というわけです。ナランチャはディアボロの中の別人格であるドッピオが乗り移ったことになっていますが、喋ることなく半殺しにされます。じゃあディアボロの魂はどこに?というところで35話は終わっています。
注目すべきは声優さんたちの演技。ジョルノはジョルノの声でありながら、その口調は確かにナランチャのそれです。ナランチャはナランチャの声でジョジョの性格を見事に表しています。ミスタとトリッシュは、微妙かな。男と女が入れ替わると、声質がまるっきり変わるので、果たして元のキャラクターを演じることができているのかどうか、素人にはわかりにくかったです。特に、ミスタの声の鳥海浩輔さん演じるトリッシュはちょっと面白すぎて。
そして、オープニングが「裏切者のレクイエム Diavolo.ver」となっていて、途中から特殊な演出が入り、(たぶん)イタリア語の台詞が挿し込まれています。最初に見た時、いきなり画面が止まったので、録画データにエラーがあるのかと思いました。物語が佳境を迎えた時のオープニング特殊演出は、これまでのシリーズでもありましたね。
ナランチャが、地元に帰ったら……という話を始めたところで、これ完全に教科書通りの死亡フラグだなと思いましたが、あまりにわざとらしいので実は死なないんじゃ……と思ったらやっぱり死んでしまいました。しかも、時間を跳躍するディアボロの能力にやられたので、襲われる瞬間も、死ぬ瞬間も見えず、みんな気がついたら死んでた、というあっけなさ。そのあっけなさが逆に、心にズッシリと重いものを感じさせます。
ジョルノはナランチャの死によって、元の肉体に戻りましたが、他の人たちはどうなるんでしょうね。原作を読んだのはジャンプで連載中の頃で、内容はすっかり忘れているので、新鮮にアニメを楽しんでいます。
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