「パ パ パジャマ・じゃまだ!」
去年の暮、起毛の暖かいパジャマを買った。
それまで、冬場はスウェットの上下で寝ていたのだが、10年近く着ていたものなので、いい加減ボロくなっていた。おまけに繰り返される洗濯でサイズが縮んで丈が短くなり、座ると背中の下側が外気にさらされる仕様。パソコンの前に座っていると、気密性の悪いサッシから忍び込む冷気で、寒いことこの上なし。
さすがにもう新しい寝間着を買わなければと判断し、売り場に行くと、歳末セールでいい感じのパジャマが安売りされていた。触り心地がフワモコの起毛パジャマから、好みの色柄を選んで買った。
パジャマの生地はそれほど厚くない。スウェットに比べたら薄いほうなのだが、やたら暖かい。今まで寒いのを我慢して、分厚くてゴワついたスウェットを着ていたのはなんだったのかと、ちょっとだけ後悔した。
私は前後がわかりにくい服を着るとき、首の後ろについているタグを目印に、服の前後を判別していた。しかし、その新しいパジャマは、サイズを表示した小さなタグがついているだけで、首回りに襟もないので、前後を判断するのに少し手間取ったりしていた。
ある時、ふと気づいた。そのパジャマには、左わき腹あたりの位置に、少々大きめのタグがついている。これを目印にすれば、小さなタグを探したり、首の開き具合を見たりしなくても、前後がわかるぞ。
それから、どの服を着るときでも、左わき腹の位置にタグがついていることに気づいた。初めのうちは「これもパジャマと同じ場所にタグがある」「あ、これもだ」などと、たまたま同じ位置にタグがあるだけだと思っていた。
しかし、ある時ふと気づいたのだ。自分が持っているどの服にも、左わき腹の位置にタグがついている。これはもしかして、業界のルールなのではないか?シャツなど上半身に着る服は、必ず左脇にタグをつけるという決まりがあるのだ、そうに違いない。
そのことを、嫁さんに話すと「え?今まで知らなかったの?」という反応だった。
知らなかったよ。誰も教えてくれなかったし、興味もなかったんだから。
考えてみれば、毎日着ているものなのに、今まで気づかなかったのは不思議だな。人間、いくら目の前にあっても、気づかないときは気づかないものなんだな、と思った。
ということで、今日の話は以上。