最近読んだ漫画で面白かったタイトルの感想をひとつ。
「ゴールデンカムイ」。漫画大賞2016の大賞受賞作ということで話題になった作品です。
1巻を読んで最初に感じたのは「シリアスかと思ったら意外と笑わせるグルメ漫画?」ということでした。
「冒険(バトル)」と「歴史(ロマン)」と「狩猟(グルメ)」というのが公式な売りらしくて、確かにその通りなんですが、そこにちょいちょいギャグ要素をぶっこんでくる。盛りだくさんすぎて、作品がどこ向いて走ってるのか、読んでてときどきわからなくなります。
寒い土地で、ヒグマと戦ったり、人間と戦ったり、いろんな生き物を食べたり、北海道の原住民アイヌが出てきたりと、昨日観てきた映画「レヴェナント:蘇えりし者」と少しダブって見えました。
日露戦争後の世界という設定もあって、人が現代よりだいぶ野蛮な生活をしていた時代ですから、戦闘描写は生々しく、あっさり人が死んだり、手足が切り離されたり、どばどば血が出たりします。「狩猟(グルメ)」を打ち出しているだけあって、動物を狩って解体して料理するまでが詳細に描かれています。ジビエ料理ですね。脳みそやら心臓やら目玉やら、狩った獲物は残さず食べ尽くします。
ストーリーの基底となるのは、アイヌが残した金塊を奪った犯罪者がいて、そいつが隠した金塊の場所を探し当てる謎解き要素があり、その金塊を狙う軍隊、個人、テロリスト集団などが入り混じって、戦闘や駆け引きを繰り広げるという流れです。
まだまだ未開の地であった北海道の原野を、野生動物たちとの知恵比べをしながら金塊を探す「冒険(バトル)」要素。
日露戦争で無能な軍上層部に部下たちを殺されたと恨む軍人、幕末を生き延びて北海道独立を企む新選組のメンバーなど、虚実入り乱れて歴史上の人物が暗躍するという「歴史(ロマン)」要素。
狩猟で得た獲物の調理法を詳しく解説する「狩猟(グルメ)」要素。
そこへ唐突にぶっこまれては「このくだり、必要か?」と思わせるギャグ要素。
様々な要素が入り混じって盛りだくさんな内容の冒険譚です。作者はデビューから10年を過ぎていることもあり、絵柄はこなれていて安定しているので、読みやすい作品だと思います。読み始めはシリアス面とギャグ面の落差が激しくて戸惑うかもしれませんが、むしろそこがこの作品の個性とも言えるでしょう。
ゴールデンカムイ 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
- 作者: 野田サトル
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2015/02/19
- メディア: Kindle版
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