夢にうなされて そこでお前を待ってる
夢を見ていたんです。
目が覚める直前のことなので、はっきり覚えています。ほんのワンカットだけの映像でしたが。
家の台所で、嫁さんが何か料理をしています。ガスコンロが3つあって(本当は2つなんですが)、そのうちの真ん中と右のコンロを使っていました。
真ん中のコンロでは、鍋にフレンチトーストを入れてグツグツと茹でていました。
フレンチトーストとは言っても、夢の中でフレンチトーストだと思っていただけで、記憶にあるそれは、ヒトデみたいな模様の入ったパンのようなものでした。
右のコンロでお湯を沸かしていて、そのお湯が沸騰して、今にも吹きこぼれそう。
嫁さんは気づいていないようなので、声をかけました。
「吹きこぼれるよ」
しかし、反応がありません。真ん中のコンロで茹でているパンのようなものに集中しています。
「ちょ……吹きこぼれるよ!」
無視です。
嫁さんは現実でも、たまに私の言葉を無視します。聞こえてなかったと言いますが、本当に聞こえてなかったのか怪しい時がある。今のは完全に聞こえとったやろ!と思うこともありますが、それを言うと険悪になるので言いません。
そのうちに、右のコンロで沸かしているお湯がますます激しく沸騰して、いよいよ吹きこぼれはじめました。ジュウジュウいってます。
「〇〇ちゃん!」
と、嫁さんの名前を呼んだところで目が覚めました。ウチは名前にちゃん付けで呼んでいます。
しばらく布団の中で「夢だったか……」と、ほっとする余韻に浸っていました。
布団から起きてトイレに行くと、夢と同じように嫁さんがコンロの前に立っていました。
「さっき大きな声で寝ごと言ってたよ」
「うん、自分の声で目が覚めた」
「危ない!って」
「……え?」
私には夢の中で「危ない!」と言った記憶はありませんが、どうやらそんな言葉を叫んでいたようです。マジか。自分の声で目が覚めたのに、その時の言葉を覚えていないなんて。夢と現実のギャップ。
夢の中で叫んだ言葉と、現実に口から出ていた言葉が違うこともあるんだな、という話でした。
ではまた!
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