心は空気で出来ている

空気を読むな、呼吸しろ。

「館長 庵野秀明 特撮博物館」を観に名古屋市科学館へ行ってきました。

 久々に一日フリーな時間ができたので、行ってきました。

 館長庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技

 会場は名古屋市科学館。地元のわりには今まで一度も入ったことがなく、今回初潜入。潜入っていうか堂々と正面玄関から入ってやりましたけどね。白川公園の入り口から入って行ったら、すぐに行列の最後尾が見えてきたんで、ちょっとビビりました。

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 でもこの行列はプラネタリウムのお客さん。特別展のほうは館内に収まる列の長さで安心しました。JAFの割引チケットで100円だけ安く入場。列に並んでるとき、子供の保育園でときどき見かけるお母さんが子連れで来ていたので、軽くあいさつしました。向こうもまさかこんな場所で顔を合わせるとは思ってなかったようで、ちょっとびっくりしてました。こっちもびっくりだよ。

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 特別展は地下フロアで開催されていて、エレベーターに並ぶ人々を横目に階段を下ります。ゆるい階段を下りていくと、特別展の入り口に着きました。想定していたことですが、残念ながら写真撮影はNG。

 控えめな照明に照らされた会場に入ると、まずは壁に掛けられた小松崎茂先生のイラストがお出迎え。「宇宙大戦争」や「海底軍艦」の大きなポスター、轟天号のミニチュアモデルなどが目を引きます。

 フロア中央にそびえたつのはメカゴジラのスーツ。実際に使われていたもので、ウレタンボディに入った無数の皴が、メカゴジラの動きと、中の人の仕事のハードっぷりを思い起こさせてくれます。

 ウルトラマンシリーズに登場した地球防衛隊の様々なミニチュアメカも展示され、天井からはウルトラマンが吊り下げられて、ジュワッと空を飛んでいます。とにかく盛りだくさんな展示内容で、僕はブログのために何が展示されているかをメモしようとiPhoneをいじっていましたら、係の人が注意してきました。

 「写真は撮っていませんけど…」

 「他のお客様の誤解を招きますので…」

 わかりました。素直にiPhoneをポッケにしまい、自らの記憶力を頼りに展示物を観ていきます。

 ウルトラマンをはじめとする特撮ヒーローの仮面がたくさん並んでいました。僕にわかるのはウルトラマンシリーズと、ミラーマンくらい。他のはもっと上の世代じゃないとわからない古さのヒーローばかり。かろうじてジャンボーグの名前くらいは聞いたことがある程度かな。

 展示は特撮に関わったスタッフごとに区分けされていて、先ほどの小松崎茂成田亨、他にも特撮の歴史を作ってきた偉大なクリエイターの功績と共に、作品に関連したミニチュアなどが飾られるという展示方式でした。

 展示エリアは2ブロックに分かれていて、最初のエリアを観たあと「巨神兵、東京に現る」のメイキング映像をホールで観て、また次の展示エリアに戻る、という流れでした。「巨神兵~」の映像を流しているホールの横に、実際に使われた巨神兵のモデルや、ミニチュアモデルが展示され、さらにその横では大型テレビ画面で、メイキング映像のさらに細かい解説映像が流れているという、なんだかすごいシステム。これでもかというくらい細かい情報をかぶせてきます。こちとらオタク相手に商売してんだ!という気合が感じられました。

 メイキング映像を見た後、次の展示エリアにいくと、まずは特撮映画の美術倉庫を再現した薄暗い場所がありました。ゴジラの着ぐるみやら、戦車やら、昔のフィルムカメラ、その他さまざまな小道具類が雑然と配置されていて、倉庫のほこりっぽい匂いもリアルでした。

 倉庫を抜けると、一転して照明が明るく光るエリアがあり、破壊された東京タワー周辺の街並みがジオラマで再現されていて、そこだけは写真撮影ができるようになっていました。みんなコンデジやら一眼レフやらを構えて、ビルの間から顔を出したり、ピースサインをしたりして写真撮影に興じています。

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 破壊されたビル群や折れ曲がった東京タワー、道路に散らばる自動車や戦車。本当に細かい造りです。ジオラマの通路側、撮影台の上にワンルームアパートのカットモデルが置かれていて、その窓を通して街並みを撮影することができるようになっていました。「巨神兵~」のワンシーンを味わえる展示です。

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 そのワンシーンというのは、雑然と散らかったアパートの部屋から、ビル群の向こうに浮かぶ巨神兵が見えるという場面なのですが、窓外のビル群や巨神兵はともかく、まさか部屋まで模型だとは思いませんでした。それくらい精巧な造りでした。写真を撮りたかったけど、撮影待ちの人が周辺でわらわらしていたので断念しました。

f:id:go_kuma:20141201165840p:plain ジオラマコーナーを抜けると、ウルトラマンや怪獣たちのソフビ人形が展示されていて、その先は出口になっていました。会場を出ると、お決まりの物販コーナーがあり、図録やグッズがたくさん販売されています。とりあえず図録は購入し、そのほかのグッズを眺めていると、物販エリアの端にメダリオン…じゃなかった記念メダルの自販機が置いてあるではないか。

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 全部で4種類。巨神兵ガメラウルトラマンと……あとなんだったか忘れちゃいましたが、たぶんゴジラとかそのへんでしょう。さすがに巨神兵は大人気で、すでに売り切れ、入荷未定の張り紙がしてありました。巨神兵がないならやめるか……いやしかし、せっかくだからということでガメラの記念メダルを購入しました。普通、観光地などにあるメダルは400円ですが、これは500円。さすがに高いぜ。刻印器も通常30円のところ50円。しかも50円玉しか受け付けないという殿様商売。

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 「みうらじゅん安齋肇勝手に観光協会」を観て以来、お出かけ先でメダリオン…じゃなかった記念メダルを見つけると、つい買ってしまうようになりました。コレクションというほどではありませんが、そこそこ数が溜まっているので、綺麗に保管できるケースでも買おうかと思っています。

 それはさておき、特撮博物館の展示と「巨神兵東京に現る」のメイキング映像を観て、特撮技術のすごさと面白さ、そしてCGに押されて消えて行こうとしている職人技の知恵と工夫に驚きました。現在では特撮ヒーローの巨大ロボ戦闘シーンくらいでしか見ない特撮技術ですが、今後消えて行ってしまうとしても、何らかの形で記録しておけないものだろうかと思いました。

 僕自身、手先の感覚が頼りの職人技に近い仕事を生業としているので、本当に大切なのは技術を記録していくことよりも、人がそれを継承していくことだとは思うんですが……いかんせん、お金を稼ぐ仕事として成立しなければ難しいということもまた事実。趣味や道楽では、本当の意味での「継承」は難しいでしょうね。

 しかし、技術は進歩していっても、ものづくりの魂は受け継がれていって欲しいと思います。

 というわけで、特撮博物館レポートは以上です。

 ジュワッ!