心は空気で出来ている

空気を読むな、呼吸しろ。

楽しい絵本の紹介 「コんガらガっち どっちにすすむ?の本」 作・ユーフラテス

 NHKEテレで現在も放送中の番組「ピタゴラスイッチ」をご存じでしょうか。この番組に出てくる「ピタゴラ装置」というのが数年前に話題になり、ピタゴラ装置のコーナーだけを収録したDVDがバカ売れしたという実績のある番組です。

 僕も土曜の朝に時々見ていますが、ピタゴラ装置をはじめとするこの番組のコーナーを制作しているのが、この本「コんガらガっち」シリーズを手掛けているユーフラテスのメンバーです。ユーフラテスは慶應大学佐藤雅彦研究室の卒業生と佐藤雅彦で構成されるクリエイティブ集団です。

 EUPHRATES | ユーフラテス (ユーフラテス公式サイト)

 この「コんガらガっち どっちにすすむ?の本」は、コんガらガっちシリーズの第1作目で、ピタゴラスイッチのアニメコーナーをほうふつとさせる展開が特徴です。コんガらガっちとは、本に登場するキャラクターで、いろいろな生き物がこんがらがってできた生物たちの総称です。メインキャラはいるかともぐらがこんがらがった「いぐら」、その友達でたことからすがこんがらがった「たらす」、他にもきりんとありくいで「きくい」、てぃらのさうるすといるかで「てぃらるか」など、全部ひらがななので見ているだけで頭がこんがらがってきそうな名前ばかり。

 絵本のタイトル「どっちにすすむ?」の通り、いぐらが道をたどっていく過程で様々な分かれ道に出会う、というのが基本の展開です。たらすの家に遊びに行く途中でお土産を選んだり、痛い目にあったりします。選んだ道によって、持っていくお土産が変わり、どんな障害に遭うのかも変わってきます。

 食堂では、どんぶりに盛られたご飯の上に何を乗せるか選びます。枝分かれした道の途中にいろいろな具材が用意されていて、選んだ道によってどんぶりに乗せる具材が変わっていきます。最後は「ういんなーとろとろちーずはんばーぐどん」「ちょこれーとめだまかつどん」「はんばーぐはんばーぐはんばーぐどん」などのユニークなどんぶりメニューが出来上がります。チョコレート、アイスクリーム、ハンバーグ、トンカツなど、具材は子供が好きなものが中心なので、組み合わせによってはあきらかにおいしくなさそうなどんぶりが出来上がりますが、子供はそんなこと気にしません。

 散歩に出かけると、今度は分かれ道だけでなく、はしごを登って前のページに下りてきたり、道がUターンして前のページに戻ったり、絵本はページを順番にめくって読み進むものという固定観念をくつがえす工夫が盛り込まれています。

 この絵本は、物語を読む絵本ではなく、自分で選んだ道がいろいろな結果につながるという経験を味わえる、いわゆる知育絵本の部類に入るものです。選ぶ道やたどりつくゴールが何種類も用意されているので、繰り返し何度も楽しめます。

 しかし、うちの子供の楽しみ方は、大人が期待するそれとは少しずれていて、毎回毎回同じコースを選択します。他にも道があるよ、こっちへ行くと何が出てくるかな、などと誘っても、頑として譲りません。必ず同じ道を選択し、同じ結果に辿り着きます。たぶん、そのコースに本気で飽きるまでは同じことを繰り返すんだろうなと思います。下手をすると他のコースを選ぼうと思う前に、絵本そのものに飽きてしまうかも。

 それはそれで彼が楽しければいいんですが。だいたい子供ってやつは、おもちゃにしても本にしても、想定外の遊び方を勝手に開発して、大人の期待を裏切るもんですよね。

コんガらガっち どっちにすすむ?の本 (創作絵本シリーズ)

コんガらガっち どっちにすすむ?の本 (創作絵本シリーズ)