心は空気で出来ている

空気を読むな、呼吸しろ。

隕石を拾った夢

 また夢の話。

 仕事から帰って夜空を見上げると、動く星が見えた。流れ星か、宇宙ステーションか、はたまたUFO(最近はUAPというらしい)か、などと思っていると、その星は空高くをこっちに向かって飛んでくるように見えた。

 その瞬間ふっと光が消えたかと思うと、星は真っ黒な石くれとなって自分めがけて落ちてきた。夜空なのになんで真っ黒な石が見えたのか、それは夢だからです。

 はるか上空から落ちてきたわりに、近くから人が放り投げたくらいの勢いで目の前の地面に「どんっ、ごろごろ……」といった感じで転がってきたソフトボール大の隕石。真っ黒な石の表面には”の”の字を描くような渦巻状の溝があり、下側は炭が燃えるように赤く光っていた。

 隕石だ。こんなに真っ直ぐ自分めがけて落ちてきたのは運命に違いない。これを売ったらいくらになるだろう。わくわく。

 しかし隕石は大気圏突入時の摩擦熱が残っていて、とても手で持てない状態だ。軍手をしても燃えてしまうだろう。しかたない、今はこのまま放置して、翌朝早起きして回収しよう。そう思って寝た。頭の隅では「こんなことが現実に起こりうるだろうか」という疑問があったが、いろいろとリアルだったので間違いなく現実だと思った。

 朝、嫁が布団から出る気配がして目が覚めたが、まだ半覚醒状態で体は動かなかった。頭の中では「はやくあの隕石を回収しないと」と思って起きようとするのだが、意識が黒煙に包まれたようにもやもやとして、がんばっても起きることができなかった。

 それからほどなくして完全に目が覚め、布団の中で隕石のことを思い出したが、よくよく考えてみればあの隕石が落ちてきたのは実家の駐車場だった。しかし今自分が寝ているのはアパートの布団の中だ。あれはやっぱり夢だったのか……すごく残念な気持ちで目を開いた。

 まったくもってリアルではっきりした夢だったが、あの隕石はいったい何だったのだろう。仕事上のストレスを抱えた自分にとって何らかのシンボル、あるいはヒントだったのだろうか。

 まぁ、考えたところで仕方ない。何であれ、心が返すものは質問に対するAIの応答と変わらない。ただ知識の海から何らかのプロセスに従って選ばれたものが浮かんでくるだけのことだと思うことにしている。