前回のあらすじ
<真理に近づくにはどうしたらいいか。知識を貪る乱読の末、真理は知識の集積によって構築するものではなく、悟りによって開示されるのだ、という認識へと変化していった>
高卒で働き始めた私は、働くことの意味がわからず、21歳の時に無職になり、およそ1年間、ひきこもりの時代を過ごしました。その間、それまで働いて貯めたお金のほとんどを、漫画やその他いろいろなジャンルの本を読むことに費やしました。実家暮らしで甘やかされていたからできたことです。
荒俣宏の本から、神智学を知ったのもその頃でした。そして、神智学とは一体どんなものかと、その中身を知りたくなり、神智学に関係する本を探しました。そこで出合った一冊が、ルドルフ・シュタイナーの『薔薇十字会の神智学』でした。
人という存在は、いくつもの層から成っていて、肉体の他に、エーテル体とかアストラル体とかそんな感じのもので構成されていて、輪廻転生を繰り返しながら、高次の存在へと進化していくのだ、みたいなことが書かれていたように思います。
正直、神秘的すぎて、とても全ての内容にはついていけませんでしたが、一部なるほどと思える部分もあり、一応真面目に全部読みました。その中でも、人が人として生きるには教育が重要である、というような意味の話が、最も心に残りました。
それを踏まえて、さらにシュタイナーの本を何冊か読みました。その後、ある事件が起こります。事件と言っても大したことではありませんが、私にとっては事件でした。
本屋の人文学コーナーで、シュタイナー関連の本を探している時、ふとある本のタイトルが目に留まりました。
J・クリシュナムルティ著、藤仲孝司訳「子供たちとの対話 ー考えてごらんー」(平河出版社)でした。
著者は知らない人だけど、シュタイナーが教育に力を入れていたということが頭にあったので、これも教育関連の本なら、何か参考になるかもしれないと思い、ついでに目を通してみるか、くらいな軽い気持ちで、シュタイナーの本と一緒にレジへ持っていきました。
翌日、いつものようにヒマだった私は、そのクリシュナムルティの本を読み始めました。気がつくと、昼食を摂るのも忘れて、最後まで読み終えていました。
- 作者: ルドルフシュタイナー,Rudolf Steiner,高橋巌
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2002/07/01
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- 作者: J.クリシュナムルティ,J. Krishnamurti,藤仲孝司
- 出版社/メーカー: 平河出版社
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