心は空気で出来ている

空気を読むな、呼吸しろ。

よろしく俺にチューニング

 タイトルでピンときた方はだいたい40~50代でしょうな。

 先日、とある用事で親戚の家に向かっていたところ、道沿いに中古自動車販売店がありまして。これといって目立つ看板を上げているわけではなく、小奇麗な建屋でもなく、味も素っ気もないガレージに事務所がくっついてるだけの、質素なお店でした。

 ただ、メーカーも年代もバラバラの車が十数台、ガレージ前の駐車場に所狭しと並べられているので、一目で中古車屋さんだなとわかります。しかも周りは田んぼが多く、店舗や建物自体が少ない場所なので、嫌でも目立ちます。嫌じゃないと思うけど。

 ベンツにレガシィプリウス、ポルシェ、軽トラ……どういう基準で車を仕入れているのか知りませんが、とにかく車種が豊富。自宅らしき建物も隣接しており、駐車場がつながっているので、どれが売り物でどれが家主の持ち物なのかもよくわかりません。少なくともプライスカードがついている車は売り物なんでしょう。

 よく見ると86レビンもあるし、昔のコロナマークIIもあります。面白いなぁと思って通り過ぎようとすると、これまた見覚えのある懐かしい車が。あまりにも久しぶりに見たので名前がぱっと出てきませんでしたが、数秒後に思い出しました。

 そう、あれはまさしくトヨタセリカXX(ダブルエックス)。1980年代、週刊少年ジャンプに連載していた漫画「よろしくメカドック」に登場したスポーツクーペです。白い車体に黒のバンパー、隠しライト(子供の頃はこう呼んでましたが、正確にはリトラクタブルライトって言うらしいです)。スーパーカーブームに流されまくった子供時代を過ごした僕にとって、隠しライトはかっこいいスーパーカーの代名詞みたいなもんでした。あの頃はスポーツカーと言えば隠しライトが当たり前みたいになってました。

トヨタ・セリカXX - Wikipedia

 新しい漫画だと「頭文字D」の主人公が乗ってるトレノも隠しライトです。しかしあんなにかっこいい隠しライトの車も、10年以上前から見なくなりました。法規制がらみらしいですが……。スポーツカーということを考えると、素人目にも空気抵抗ありそうだし、壊れやすそうだし、コスト面で割に合わなかったのかもしれませんね。

トヨタ・スプリンタートレノ - Wikipedia

 セリカXXといえばプラモデルも作りました。モーターと麦電球を内蔵してて、ライトを点灯して狭い部屋をぐるぐる走らせていたのを覚えています。ラジコンじゃなくてプラモなので、ステアリングを固定してひたすら周回走行です。今思えば、何が楽しかったんだろう。それでも子供の頃はそれを見てワクワクしてました。すぐ飽きましたけど。 

タミヤ 1/24 トヨタ セリカ XX 2800GT

タミヤ 1/24 トヨタ セリカ XX 2800GT

 

  そのセリカXXを見た数日後、今度は実家に向かう途中で、これまた古そうな、しかもちっこいスポーツカーを見かけました。ユーノスロードスターよりさらにふた回りほど小さい。ナンバーはご丁寧にも800番。これまた「よろしくメカドック」に登場した、トヨタスポーツ800・通称「ヨタハチ」です。半年ほど前、富山県で倒木の下敷きになって潰れたことで話題となったトヨタ2000GTをキュッと縮めたようなデザインの車体に真っ赤なペイント。かっこいいそして可愛い。かっこ可愛い。(可愛い)。

トヨタ・スポーツ800 - Wikipedia

 セリカXX、ヨタハチときて今度はCR-Xが来るか……!と思っていますが、それはまだ見ていません。実は「よろしくメカドック」に登場した車の中で一番好きなのがCR-Xなんです。もちろんバラードスポーツのほう。大人になったらCR-Xに乗るぞ!と思っていたくらいです。結局予算の関係で乗りませんでしたけど。

ホンダ・CR-X - Wikipedia

 そういえば、僕は「よろしくメカドック」を見て、将来は自動車整備士になろうと思っていました。でも途中で他のことに興味が移り、整備士にはなりませんでした。CR-Xにも乗らず、自動車整備士にもならず……子供の頃の夢にしては現実的だったのに、案外実現しないもんですね。

 

嫁さんの誕生日はまだ数か月先なのだけど

今週のお題「プレゼントしたい本」

 ということで、初めて「今週のお題」で記事を書いてみようと思います。記事を書くこと自体何か月ぶりだろうなぁ。調べてみたら約半年ぶりでした。

 なにゆえ、半年も放置されていたブログに再び息を吹き込む気になったのかというと、なんとなくです。なんとなく記事を書かなきゃな~という気分の時に、たまたま今週のお題を見てみたら「プレゼントしたい本」。

 そして昨日はたまたまどこかのニュースサイトに飛び出す絵本の広告記事が出ていたので、嫁さんのプレゼントにいいかなぁと思っていたところなのです。ほんとたまたま。

 こういうの、共時性って言うんですか。シンクロニシティってやつ。これは何としても記事を書きなさいという神のお告げか悪魔の囁きか。どっちにしろせっかくなので記事を書こうと思った次第。

 その、たまたま見かけた飛び出す絵本というのがこちら。

  11年前に出た本で、当時はテレビなどでもさんざん紹介されたのでご存知の方も多いと思います。しかし10年以上も経つと一周回って新鮮かも。この年になると10年前がそれほど昔に感じられないので、個人的には「もう11年前なのかよ……」という感覚です。まだ結婚する前で、一人暮らしのアパートに彼女(当時・現嫁)を連れ込んではキャッキャウフフしていた時代です。楽しかったなぁ……(遠い目)

 その時も二人でテレビを見ながら「これすごいねぇ」などと感心していた記憶があります。嫁さんが覚えているかどうか……覚えてないかもな。この本のことは覚えてても、二人の思い出は消えてるかもな。

 そういうことで、来年の誕生日プレゼントはこの本にほぼ決定。ただしひとつ心配が。嫁さんがすでにこれを持っている可能性。彼女は僕のあずかり知らないところで自分へのプレゼントを買って押入れの奥にしまい込んでることが時々あります。買いたいものを買うのは別に構わないのだけど、僕からのプレゼント候補がすでにあの押入れの奥に潜んでいるかもしれないと思うと、ちょっと迷ってしまいます。

太古の世界 恐竜時代 (しかけえほん)

太古の世界 恐竜時代 (しかけえほん)

 

家族サービス ~南知多ビーチランド編~

 昨日は南知多ビーチランドへ行ってまいりました。だいたい年に一度は行っています。高速に乗って1時間と少しで到着するお手軽スポット。GWも終わっているためか、日曜日といえど人出はそれほど多くありませんでした。
 正面ゲートをくぐると、前回来たときにはなかった新しいお土産ショップができていましたが、その前を素通りしてまずは水族館へ向かいます。水族館の奥はイルカショーのプールの地下になっていて、ガラス越しに水中を泳ぐイルカの姿を眺めることができます。

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 プールのイルカたちは、ガラス越しに自分を眺める人間どもにサービス的な泳ぎを見せてくれたり、ぼんやり立ち泳ぎしています。泳ぎながらちょいちょいウンチを漏らし、それが水流でくるくる回りながら散っていくのを見ると、イルカショーで最前列に座ってプールの水をかぶるのは遠慮したいと思うのでした。

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 そのあと人気のチンアナゴをしばらく見ると、他の魚類には目もくれず、息子はとっとと水族館を出ていきます。水族館を抜けた先にいるオットセイやアザラシ、ペンギン、ウミガメなどはほとんど見ることもなく、彼が目指しているのはただひとつ。ビーチランドと併設された遊園地・おもちゃ王国にあるトミカプラレールランドです。

 トミカプラレールランドは、たくさんのトミカプラレールを使って遊び放題の屋内遊技場です。トミカのテレビゲームもあったりします。息子は1週間前にビーチランドの話が決まってから、ずっとここで遊ぶことを目指して生活してきました。その遊びたい気持ちのすべてをぶつけて遊びまくった結果、休むことなく3時間強の間、昼飯も食べずにここで遊びました。

 僕と嫁さんは交替で休憩をとりながら息子を監視……いや見守りました。ここはとにかく自由な遊び場で、部屋中にとッ散らかったトミカプラレールで本当に好き放題子供たちが遊べるので、親は常に他の子供とトラブルにならないよう見張っている必要があります。元気な子供と疲れた親が入り乱れるカオス空間です。

 さて、いい加減お腹を空かせた両親の説得で、ようやくトミカプラレールランドを出た息子。レストランで昼食を済ませると、今度はすぐに遊園地ののりもので遊びたがります。最初はバイキングに乗りたいと言っていたものの、規定の身長に届かずアウト。そこそこお腹が膨れた状態でバイキングなんて自殺行為だと反対していたお父さんがほっとしたのもつかの間、ひたすらぐるぐる回転するブランコに乗りたいと言い出します。子供向けの遊園地なので、基本的にぐるぐる回る系ののりものばかり。気持ち悪くなりそうだけど、ブランコ程度なら大丈夫かなと思ったのが大きな間違い。
 最初はゆっくり回転しはじめたブランコですが、ちょうど1回転くらいしたところでグンとスピードを増し、遠心力で一気に体が浮き上がります。やばい。これはやばい。真横に吹っ飛んでいく景色。三半規管が横Gでやられるのを防ぐため、ずっと隣のブランコを見つめて、なるべく正面からGを受けるようにしたおかげでなんとか持ちこたえました。
 
 その後は、比較的のどかな乗り物をいくつかこなして、再び回転系。水中ボートという、支柱に繋がれたボートがひたすら円形プールを回るというのりものです。これも見た目はメルヘンチックで、小さい子供も乗れるくらいだから大丈夫だろうと思ったら裏切られました。スタートのブザーが鳴ると同時にロケットスタート。頭がガクンと後ろにもっていかれます。油断しているとむち打ちになるんじゃないかと思うほどの急発進でした。
 
 この日いちばん楽しかったのは、アクアボールとアクアチューブ。夏場の公園やイベントで目にしたことのある方もいらっしゃるでしょう。浅いプールにでっかいボールやチューブを浮かべ、その中に人が入ってジタバタするアトラクションです。小学生未満は付き添いが必要ということで、息子と一緒に入りました。一回3分で、待ち時間に外から眺めている時は、その3分が長く感じて、果たして最後まで楽しいテンションが持つかどうか心配でしたが、予想を大幅に超える楽しさ。中で遊んでいる人間にとっては3分などあっという間です。
 個人的にはチューブよりボールのほうが面白かったです。どの方向にも回転させられるので、ガンガン動き回って息子をばいんばいんと縦横無尽に跳ね返らせて、さんざんもてあそんでやりました。息子も未知の体験にキャッキャウフフと楽しんでいました。

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 帰りは正面ゲート横の池に住むペリカンたちに別れを告げて家路につきました。

 午前中は親にとっては苦行でしたが、午後は久しぶりに思い切り遊ぶことができて、たのしい家族ドライブになりました。大型連休でもなければ、普段の土日や祝日でもさほど混まないので、圏内の方は一度行ってみてはどうでしょうか。

ふれあい体験型水族館|南知多ビーチランド(愛知県知多半島)

 追記:

 伊勢志摩サミットが終わるまで待ったほうがいいかもしれません。途中の高速道路でパトカーが変な場所で渋滞を引き起こしてたり、警察車両が行列を作って走ってたりします。これから本格的に警戒態勢に入ると、さらに高速道路が混雑する可能性もありますね。あと、自衛隊のヘリが何機もまとまって飛んでいたりします。

 

のびのび ちんあなご

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【漫画感想】 ゴールデンカムイ 【ざっくり】

 最近読んだ漫画で面白かったタイトルの感想をひとつ。

 「ゴールデンカムイ」。漫画大賞2016の大賞受賞作ということで話題になった作品です。

 1巻を読んで最初に感じたのは「シリアスかと思ったら意外と笑わせるグルメ漫画?」ということでした。

 「冒険(バトル)」と「歴史(ロマン)」と「狩猟(グルメ)」というのが公式な売りらしくて、確かにその通りなんですが、そこにちょいちょいギャグ要素をぶっこんでくる。盛りだくさんすぎて、作品がどこ向いて走ってるのか、読んでてときどきわからなくなります。

 寒い土地で、ヒグマと戦ったり、人間と戦ったり、いろんな生き物を食べたり、北海道の原住民アイヌが出てきたりと、昨日観てきた映画「レヴェナント:蘇えりし者」と少しダブって見えました。

 日露戦争後の世界という設定もあって、人が現代よりだいぶ野蛮な生活をしていた時代ですから、戦闘描写は生々しく、あっさり人が死んだり、手足が切り離されたり、どばどば血が出たりします。「狩猟(グルメ)」を打ち出しているだけあって、動物を狩って解体して料理するまでが詳細に描かれています。ジビエ料理ですね。脳みそやら心臓やら目玉やら、狩った獲物は残さず食べ尽くします。

 ストーリーの基底となるのは、アイヌが残した金塊を奪った犯罪者がいて、そいつが隠した金塊の場所を探し当てる謎解き要素があり、その金塊を狙う軍隊、個人、テロリスト集団などが入り混じって、戦闘や駆け引きを繰り広げるという流れです。

 まだまだ未開の地であった北海道の原野を、野生動物たちとの知恵比べをしながら金塊を探す「冒険(バトル)」要素。

 日露戦争で無能な軍上層部に部下たちを殺されたと恨む軍人、幕末を生き延びて北海道独立を企む新選組のメンバーなど、虚実入り乱れて歴史上の人物が暗躍するという「歴史(ロマン)」要素。

 狩猟で得た獲物の調理法を詳しく解説する「狩猟(グルメ)」要素。

 そこへ唐突にぶっこまれては「このくだり、必要か?」と思わせるギャグ要素。

 様々な要素が入り混じって盛りだくさんな内容の冒険譚です。作者はデビューから10年を過ぎていることもあり、絵柄はこなれていて安定しているので、読みやすい作品だと思います。読み始めはシリアス面とギャグ面の落差が激しくて戸惑うかもしれませんが、むしろそこがこの作品の個性とも言えるでしょう。

 

ゴールデンカムイ 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

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【映画感想】レヴェナント:蘇えりし者【ネタバレ御免】

 はい観てきました「レヴェナント:蘇えりし者」を。アカデミー賞主演男優賞、監督賞、撮影賞受賞作品です。

 家に帰ってからネットで公式サイトの予告編を見ましたが、ぶっちゃけ予告編だけで映画の内容は全部です。

 最愛の息子の命を目の前で奪われ、極寒の荒野に置き去りにされた男が復讐のために蘇る。全部言っちゃってるよ!復讐の先に何があるのか……何もなかったよ!

 ストーリーはそれだけのことなんですが、この映画の印象を簡潔に述べるならば、痛い・辛い・寒いの三拍子揃った話を血なまぐささというオブラートに包みました的な?いやオブラートじゃねえよ!むしろ三種類の具材を生き血で和えて盛り付けました的な仕上がりですわ。

 自分の感度が鈍いだけかもしれないんですが、これといったどんでん返しもなく、カタルシスに浸れるわけでもなく、謎解きもなにもない。そりゃ実話に基づいた作品だってことですから、そんなもんでしょうな。

 とにもかくにも、救いのない物語です。この映画にメッセージがあるとすれば、殺されたネイティブアメリカンの首に掛けられた板に記されていた「すべての人間は野蛮である」みたいな意味の言葉。確かにその言葉通り、この映画はとにかく人間の野蛮さをこれでもかというくらいにしつこく描き出しています。登場人物は、加害者も被害者も全員野蛮。野蛮に描かれなかったのは、主人公の夢に出てくる死んだ妻くらいなもんでしょう。唯一野蛮でないのが死んだ人間というのは皮肉なんでしょうかね。

 アメリカの開拓時代の話で、200年くらい前は本当にこんな世界だったんだろうなぁ、と思わされます。なんちゃら砦とかネイティブアメリカンのなんちゃら族とかね。実際、その時代のアメリカ大陸では野蛮なことが日常的に繰り広げられていたんでしょう。たくさんの人間が殺し合いをして、女子供が酷い目にあって、むやみやたらと野生動物が殺されて、森は伐採されて……そんな血なまぐさい歴史を刻んだ土地が、今では明るい観光名所、なんてことになってるんでしょうね。

 あとは、アメリカの大地を映し出した雄大な映像美とか?見どころといったらそんなとこですかねぇ。そう、あと熊!あれCGなんですか?そりゃCGでしょう。でもすごいリアル。CGがどうやってディカプリオをぶん回してるのか、何か仕掛けがあるんでしょうけど、あのシーンは本当にすごい。熊が本当に生きてるように動く。毛皮とかヨダレとか、あんなリアルにCGで作れるんですね。今までの生き物のCGって、たいがい動きがCGっぽいし、なにより重力が感じられない。ジュラシック・ワールドの恐竜なんてめちゃ軽そうでしょう。しかしあの熊はマジで重力の中を生きてましたよ。あそこまで生き物をリアルに、しかも重力コミでリアルに作れるとなると、CG本当にやばいですね。なんでもねつ造できちゃうじゃないですか。

 それと、主人公が死んだ息子に寄り添って眠るシーンでは泣けました。この作品で唯一泣くとこですね。まだ小さいけど自分にも息子がいるので、そこはかなり感情移入しました。

 結局、この映画で一番の見どころはというと、やっぱり熊!熊こわい!

 以上、ざっくり感想文でした。

 

羆嵐 (新潮文庫)

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野性伝説 (1) (講談社漫画文庫―矢口高雄自然シリーズ)

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