新しい季節の始まりは
夏の風 町に吹くのさ
今日も昨日に続いて内省エントリー。
会社で仕事をしていて、ひとり作業の合間に、窓から遠くの景色を眺めていました。サボってたわけじゃないです。待ち時間があるんです。
会社の建物は田園地帯の端っこにあって、工場系の建物がいくつか密集している土地なんですが、その中でも私が勤めている会社の建物は比較的高く、窓から遠くの景色がよく見えます。
快晴とは言えず、かといって曇りとも言えない微妙な空。薄い雲に混ざって、幾筋かの飛行機雲が走っていました。その飛行機雲が消える地平線には、暗灰色の山並みが、薄雲に霞んでシルエットだけの姿を見せています。
密集した工場の向こうには、田植えが終わったばかりの田園が広がっていて、水面がキラキラしています。その向こうを、単線の電車が一本走っていきます。
窓からは、ときおり涼しい風がそよと入り込んできて、汗ばんだ体を冷やします。
ああ。なんという、自然。
こんな景色を見ていると、何もかもを捨てて、人間社会に背を向けて、自然に還りたくなってしまう。自然の中に引きこもりたい。いやむしろ、人間社会に引きこもった自分を、自然に放したい。
無理だけど。
目に映る山々と同じように、心の中のはるか遠くに、癒しが霞んで見える。
じわりと泣けてくる。
あれは、遠くにあるから癒しなのかも。
あれがもし目の前にあったら、癒しどころじゃないかもしれない。あれの力で、自分は壊れてしまうかもしれない。太陽は、遠くにあるから暖かい。近づいたら燃え尽きてしまう。そんなような。
胸の穴に、あの癒しが、いまも微かに残っている。
その残滓だけで、気を抜くと、泣けてくる。
もはや、自分が癒されているのか、悲しいのか、それとも切ないのか、わからない。
とにかく、胸の穴はもう空っぽじゃなくて、何かで満たされている。
この感じ、嫌いじゃない。