やっみっにっかーくれってーいっきーる!ごくまです。
昭和のアニメには、いろいろと無茶な展開を見せる作品があります。テレビのアニメ特集などで、ツッコミどころとして取り上げられることも、よくある話。
現在(2018年3月6日)、BS11で放送中の『妖怪人間ベム』は、1968年版の『妖怪人間ベム』のあとに、ショートギャグアニメ『俺たちゃ妖怪人間』が、「妖怪人間ベム50周年プロジェクト」として、抱き合わせ放送(?)されています。
私が小学生の頃、夏休みには毎年のように『妖怪人間ベム』が放送されていて、毎年のように観ていました。不気味で暗い絵柄や、マジで怖いストーリーに恐怖しながらも、毎年楽しみにしていました。
そんな『妖怪人間ベム』を、およそ35年ぶりに録画して観ています。後半のショートアニメは、正直それほど面白くないけど観ています。ベムの声が杉田智和さん、ベラは倉科カナさん、ベロは……知らない男の人。
子どもの頃は恐怖の演出に気を取られて、ストーリー展開のおかしさはあまり気にならなかったのですが、大人になった今、改めて観ていると「そんな無茶な……」という展開が結構あります。というかほぼ毎回無茶な展開です。
このまえ観た話は、鉄塔にまつわる呪いの話。もともと墓地だったところに東京タ……いや鉄塔を建てた人たちが、墓地に埋葬されていた人間たちの怨霊によって次々と殺されていき、偶然そこに居合わせたベムたちがその怨霊を退治して事件を解決する、というストーリー。
まず、鉄塔の形が東京タワーっぽい。今だったら各方面からクレームが殺到すること間違いなしです。それとも、東京タワーの足元にはもともと墓地があったということなんでしょうか。そんなバカな。
まず鉄塔の設計者が怨霊に追われて鉄塔に登らされ、怨霊に落とされて死にます。鉄塔を建てた会社の課長は、地下鉄の線路に飛び込んで死にます。その現場に居合わせたベラが、彼の死を不審に思っていると、怨霊の火の玉がヒョロヒョロ飛んでいくのを目撃します。
それを追って鉄塔に辿り着いたベラは怨霊と戦いますが、水槽に落とされてピンチ。下水道で落ち合ったベムとベロは、待ち合わせに来ないベラの身に何かあったに違いないと捜索に出ます。そこで火の玉を目撃するベロ。ビルの一室に人魂が入っていくと、間もなく男の悲鳴が。「あっ、いけねー!」とベロ。
男を助けに部屋に乗り込むベロですが、強力な怨霊にやられてあっさりピンチ。そこにベム登場。ベロを助けて、殺されそうになっていた男から事情を聴きます。男の名はスミス。そういえば妖怪人間ベムって、世界を股にかけてるんですよね。毎回どこの国かわからない場所が舞台です。無国籍アニメ。
スミスは工事関係者の中で唯一、墓地の上の鉄塔建設に難色を示した常識人でした。でも墓は他の場所に移動するし、鉄塔を建てるのはこの土地が一番なんだと説得されて、しぶしぶ承諾します。
ところがどっこい、工事が始まると墓地を移動するどころか、墓石はコンクリート破砕機で粉々にするわ、埋葬された骨はガンガン掘り起こすわ、無茶苦茶です。やがて工事作業員が次々と怨霊に襲われ、スミスは課長に異常を報告しますが、課長は耳を貸しません。
「そんな迷信はやめたまえ。怨霊などコンクリートで固めてしまえ!ウワハハハハ……」
どこまでも強気な課長。
墓地は本当にコンクリートで固められ、その上に鉄塔が建てられます。マジか。
事情を聴いたベム達は鉄塔に向かい、ベムは本気の姿を現わして怨霊と勝負します。怨霊は鉄塔の鉄骨をもぎ取ってぶん回したり、強烈な物理攻撃を繰り出してきます。鉄塔を縦横無尽に飛び回りながら、激しい戦いを繰り広げる怨霊とベム。最後は必殺のキックで怨霊を突き放し、鉄骨を突き立てて勝利するベム。怨霊相手に最後まで肉弾戦。
ベラを助けて鉄塔を降りてきたベムは、ベロに語ります。
「この鉄塔に、こんな恐ろしいことがあったなどとは、誰も知らない。それでよいのだ。我々の使命は悪を滅ぼすことにある。やがてこの鉄塔も有名になるだろう。さ、行こう」
えー!?そんでいいの!?
墓を無理くり掘り起こして、コンクリートで固めて鉄塔建てちゃった人間の所業についてはコメントなし?墓の上に建てた鉄塔が有名になっちゃっていいの?骨埋まってるよ?誰も供養してないよ?怨霊全員成仏してないよ?「さ、行こう」じゃないでしょ!
なんかモヤモヤするぅ。工事関係者はスミス以外全部死んじゃったから、そんでおあいこ、ってことかなぁ。ベムにやられた怨霊は、あれで成仏したのかな。それとも成仏っていう概念はないのか。そういえば舞台は日本じゃないしな。成仏とか浄化とかいう概念はなくて、人間に仇なす怨霊が消え去ってしまえばそれでよし、ってことなのか。
う~ん、墓を荒らされた怨霊の気持ち考えたことあんの?って気分になりませんか。ベム、おまえは人間がいくら悪いことをしても、人間を助けられればそれでいいのか。そこまで人間に媚びてでも、人間になりたいのか。本当になれるかどうかもわからないのに……無茶なストーリー展開ながら、いや無茶だからこそ逆に、悪とは、正義とは何なのかを、強引に考えさせられたような気がします。
ではまた!
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