心は空気で出来ている

空気を読むな、呼吸しろ。

キミくんと『リングにかけろ』のレコードの思い出

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 こんにちは。盛り上がってるところ申し訳ないんですが、オリンピックにはひとカケラの興味も持ち合わせていないごくまです。職場の人と話を合わせるのに苦労します。

 今日は小学生の頃の思い出話。たぶん5年か6年生くらいの時のことです。

 同じクラスにキミくん、キミヒロだったかキミスケだったかキミナリだったか忘れてしまいましたが、とにかくキミくんという友達がいました。友達といってもしょっちゅう遊ぶような仲ではなくて、保育園から一緒だったので、そこそこ長い付き合いがある、という程度の友達でした。

 その頃、私は週刊少年ジャンプに連載されていた『リングにかけろ』が大好きで、連載当時は毎週ジャンプを買って読んでいました。単行本も新刊が出るたびに買って、全巻持っていました。6年生の時にはすでに連載が終わっていましたが、単行本を飽きずに繰り返し何度も何度も読み返していました。

 家族でユニーへ買い物に行った時、新星堂で姉がレコードを買いたいというので一緒に店内を周っていたときのことです。当時、CDはまだなくて、音楽はレコードかカセットテープで聞くものでした。

 ふとLPレコードの並んだ棚を見ると、見慣れた絵柄のジャケットが目に入りました。そう、『リングにかけろ』の高嶺竜児が描かれたジャケットです。リングにかけろは当時まだアニメ化されておらず、なぜレコードが売っているのか?と思い、ジャケットを手に取って、裏側に書かれた解説を読んでみると、『リングにかけろ』の世界観やキャラクターをイメージしたインストアルバムでした。1曲か2曲だけ、歌の入った曲もあったように記憶しています。

 ネットで少し調べてみたところ、作曲はなんとあの久石譲。『風の谷のナウシカ』の公開より3年ほど前のことで、まだ世間にはほとんど知られていなかった頃です。もちろん小学生当時の私が知る由もなく、そもそも作曲家が誰だとか気にしていませんでした。

 熱心にジャケットに見入っている私を見て、父がそのレコードを買ってくれました。これが私の人生初レコードでした。姉に頼んでカセットにダビングしてもらい、おさがりのラジカセでテープが伸びるまで聴いたものです。

 前置きが長くなりましたが、本題はここから。そのレコードの話を、学校でキミくんと話していたら、キミくんがレコードを聴きたい、と言い出しました。私は軽く「いいよー」とかなんとか答えたのですが、家に帰ってからはそのことをすっかり忘れて、近所の遊び仲間と一緒に、家の前の空き地で遊んでいました。

 そこへ、キミくんがやってきます。私はあっと思い出しましたが、せっかく盛り上がっていた遊びを中断するのが嫌で、キミくんに「玄関入って右手に見える階段を上がって、右側が姉の部屋だから、そこに置いてあるコンポでレコード聴いといて。レコードはコンポの下の棚に入ってるから」みたいなことを言って、そのまま遊びを続けました。

 今にして思うと、なんという不親切極まりない対応。キミくんが他所の家のコンポの使い方を知っているわけがないのです。しかも勝手に姉の部屋に入れとか無茶苦茶です。私はたぶん「チッ、めんどくせえな」という顔をしていたと思います。ところがキミくんは

 「お、おう」

 みたいな返事をして、家に上がっていきました。一度も遊びに来たことがないにも関わらずです。当時、私は鍵っ子でしたから、家には両親も姉もいません。ほぼ留守の家に上がってどうするのかという疑問は、当時の私には湧いてきませんでした。遊ぶのに夢中で。

 そのまましばらく外で遊んでいると、キミくんが家から出てきました。

 「じゃあオレ帰るわ」

 と言って、キミくんは帰っていきました。誰もいない姉の部屋で、キミくんは何をしてたんだろう。後で姉の部屋を見てみましたが、もちろんレコードを聴いた形跡はありませんでした。どうしたらいいんだろうかと、途方に暮れてぼんやりしてたのかなぁ。

 いくら子どもだったとはいえ、あまりに不親切な対応をした当時の私を思い出すと、キミくんには本当に申し訳ないことをしたなぁと思います。子どもの頃の私は本当に自己中で、人のことを気遣うという心が皆無でした。当時の友達や、一緒に遊んだ近所の子どもたちとのちょっとした出来事を思い出すとき、申し訳なさ過ぎていたたまれなくなることが時々あります。

 まだ実家にあるはずの『リングにかけろ』のレコードを思い出すたび、セットでキミくんのことを思い出し、心の中でごめんねと謝るのでした。

 ではまた!

 

リングにかけろ

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