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【映画感想】レヴェナント:蘇えりし者【ネタバレ御免】

 はい観てきました「レヴェナント:蘇えりし者」を。アカデミー賞主演男優賞、監督賞、撮影賞受賞作品です。

 家に帰ってからネットで公式サイトの予告編を見ましたが、ぶっちゃけ予告編だけで映画の内容は全部です。

 最愛の息子の命を目の前で奪われ、極寒の荒野に置き去りにされた男が復讐のために蘇る。全部言っちゃってるよ!復讐の先に何があるのか……何もなかったよ!

 ストーリーはそれだけのことなんですが、この映画の印象を簡潔に述べるならば、痛い・辛い・寒いの三拍子揃った話を血なまぐささというオブラートに包みました的な?いやオブラートじゃねえよ!むしろ三種類の具材を生き血で和えて盛り付けました的な仕上がりですわ。

 自分の感度が鈍いだけかもしれないんですが、これといったどんでん返しもなく、カタルシスに浸れるわけでもなく、謎解きもなにもない。そりゃ実話に基づいた作品だってことですから、そんなもんでしょうな。

 とにもかくにも、救いのない物語です。この映画にメッセージがあるとすれば、殺されたネイティブアメリカンの首に掛けられた板に記されていた「すべての人間は野蛮である」みたいな意味の言葉。確かにその言葉通り、この映画はとにかく人間の野蛮さをこれでもかというくらいにしつこく描き出しています。登場人物は、加害者も被害者も全員野蛮。野蛮に描かれなかったのは、主人公の夢に出てくる死んだ妻くらいなもんでしょう。唯一野蛮でないのが死んだ人間というのは皮肉なんでしょうかね。

 アメリカの開拓時代の話で、200年くらい前は本当にこんな世界だったんだろうなぁ、と思わされます。なんちゃら砦とかネイティブアメリカンのなんちゃら族とかね。実際、その時代のアメリカ大陸では野蛮なことが日常的に繰り広げられていたんでしょう。たくさんの人間が殺し合いをして、女子供が酷い目にあって、むやみやたらと野生動物が殺されて、森は伐採されて……そんな血なまぐさい歴史を刻んだ土地が、今では明るい観光名所、なんてことになってるんでしょうね。

 あとは、アメリカの大地を映し出した雄大な映像美とか?見どころといったらそんなとこですかねぇ。そう、あと熊!あれCGなんですか?そりゃCGでしょう。でもすごいリアル。CGがどうやってディカプリオをぶん回してるのか、何か仕掛けがあるんでしょうけど、あのシーンは本当にすごい。熊が本当に生きてるように動く。毛皮とかヨダレとか、あんなリアルにCGで作れるんですね。今までの生き物のCGって、たいがい動きがCGっぽいし、なにより重力が感じられない。ジュラシック・ワールドの恐竜なんてめちゃ軽そうでしょう。しかしあの熊はマジで重力の中を生きてましたよ。あそこまで生き物をリアルに、しかも重力コミでリアルに作れるとなると、CG本当にやばいですね。なんでもねつ造できちゃうじゃないですか。

 それと、主人公が死んだ息子に寄り添って眠るシーンでは泣けました。この作品で唯一泣くとこですね。まだ小さいけど自分にも息子がいるので、そこはかなり感情移入しました。

 結局、この映画で一番の見どころはというと、やっぱり熊!熊こわい!

 以上、ざっくり感想文でした。

 

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