心は空気で出来ている

空気を読むな、呼吸しろ。

どこにあるのか、いつ作動するのかもわからない「ぐずりスイッチ」を内蔵した息子

 4歳の息子は、おそらくほとんどのお子様と同様、眠いと機嫌が悪くなります。

 機嫌が悪いときに何かのスイッチが入ると、無茶なわがままを言い出します。

 嫁さんはだいたい子供が寝る前に洗濯機を回し始めるのですが、寝る前という微妙なタイミングでのイベントなので、洗濯がらみでトラブることが多いんです。洗濯機は脱衣所に置いてあるので、風呂の残り湯をポンプで洗濯機に送って使うんですが、そのタイミングでよくトラブります。

 以前、僕と絵本を読んでいたと思ったら、突然風呂場に行って「ぼくがアワアワ(洗剤)いれたかった!」と嫁さんに言い出したことがありました。たまに洗濯を手伝うというか、洗剤を入れたりポンプのスイッチを入れたりということをしてたんですが、その日は絵本を読んでいたので、嫁さんが自分で全部やってしまっていたんですね。

 今日はもう入れちゃったから、また今度手伝ってね、と言っても全く聞く耳を持たず「しゃいしょ(最初)からやりなおし!」「ぼくがやりたかった!」を延々ループ再生しはじめます。空になった浴槽を指さして「またいっぱいにするの!」いやいや、水もったいないから。そんなことで10分も20分も押し問答です。最終的には泣き疲れて寝ます。

 また別の日には、僕とお風呂に入った後で絵本を読み、そのあと嫁さんに歯磨きしてもらうのを待っていました。以前は僕が歯磨き係でしたが、最近は「おかあさんがいい!」ということで交代しています。で、風呂を終わった嫁さんが、カビ防止のために浴室の壁や床を使い古したタオルで拭いていたんですが、そのタオルの柄が、嫁さんの枕に巻いているタオルと同じだったんです。

 なかなか歯磨きに来ない嫁さんを呼びに風呂場へ向かった息子は、そのタオルを見て「それはおかあさんのマクラにまくの!」……はい、スイッチ入りました。

 これはもう使い古しのタオルだから、と言っても聞く耳を持たず。枕を見せて、同じ柄のタオルがすでに巻いてあるのを見せても納得せず。たぶん、言い出した手前、引っ込みがつかなくなったんでしょうね。ほら見て、もうここにタオル巻いてあるでしょ?というこっちの言葉は完全スルー。とにかく「それ(タオル)まくの!」の一点張り。

 こんなびっちゃびちゃになったタオル巻いたら、臭くなっちゃうよ?お母さん風邪ひくよ?気持ち悪いよ?……ぐずりスイッチが入った息子の耳に、嫁さんの言葉は届きません。息子が泣きつかれて寝るまでの消耗戦です。

 ここ半年くらいで、嫁さんに対する甘えが顕著になってきた息子。それまでは毎日僕が風呂に入れていたし、歯磨きも僕がしていました。それが今は「おかあさんとおふろはいる」「おかあさんがいい」「おかあさんだいすき」この変化は一体何でしょうか。


(c) .foto project

 原則、何かやらかした時に叱るのは僕の役目、甘えさせるのは嫁さんの役目という方針でやっているので、仕方ないかなとは思いますが、あまりに差をつけられるとお父さんはちょっと寂しいです。