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ミッキーマウスクラブハウスの3DCGミッキーにおける耳位置の処理

 このブログで何度かお話していますが、お試し契約中のひかりTVのテレビガイド11月号が届きました。11月から始まるアニメをチェックしていたら「好きっていいなよ。」のアニメが番組表に載っていました。実写映画も作られてるとかで話題になっていることは知っていましたが、少女漫画に興味のないごくまは完全スルーでした。

 が、問題はそのアニメの内容がどうとかではなく、番組表での表記です。限られたスペースに長いタイトルをそのまま載せるのは無理なので、新聞のテレビ欄でもよく番組タイトルを省略して載せていますよね。ひかりTVガイドの番組表に載っていた「好きっていいなよ。」も、短縮形で掲載されていました。

 「好きなよ。」と。

 秀逸!

 さてさて本題は、同じくひかりTVで息子がどハマりしているミッキーマウスクラブハウスの話です。ミッキーとその仲間たちが、ミッキーマウスクラブハウスとその周辺で巻き起こる問題を解決していく、幼児向け知育番組です。フル3DCGアニメーションで、ミッキーや仲間たちが縦横無尽に動き回ります。

 ここ1ヶ月くらい、ほぼ毎日のようにこの番組を見ていて、最近になってふと思ったことがあります。それがタイトルにもある通り、ミッキーの耳位置の処理です。

 ミッキーマウスはもともと二次元のキャラクターで、大きな耳が特徴的です。この耳、正面から見た時と、横から見た時では、三次元的には明らかに耳の位置が矛盾しています。よく似た例に、鉄腕アトムの角(?)があります。アトムの角の描写は、ミッキーマウスの耳とよく似ています。個人的には、おそらく手塚治虫がディズニーの絵を模してそうなったのだろうと考えています。

 この三次元的に矛盾した耳の位置を、ミッキーマウスクラブハウスでは3DCGで見事に解決しています。見事というか無理やりというか、とにかく自然に見えるように処理しているのです。

 それが「耳は常に正面を向いてスライドする方式」です。

 みなさんよくご存じかと思いますが、ミッキーマウスの耳の位置は、正面から見るとこうなります。

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 で、これが横(向かって左)を向くと、三次元的な見え方としてはこうなるはずです。とってもざっくりした絵ですが。

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 ところが、二次元ミッキーは三次元のルールなどものともしません。横を向いても耳は正面を向いたまま、しかも耳の位置が正面の時と明らかに違うのです。

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 そんな無法者のミッキーを厳密な3Dモデルで実現することは不可能です。そこで、ミッキーマウスクラブハウスを作っているアニメーターさんは上記の「耳は常に正面を向いてスライドする方式」という画期的な手法を考案しました。ミッキーが横を向くにつれ、耳が正面を向くように回転しながら、頭の上をスライドするのです。つまりこう。

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 なんということでせう。ミッキーは三次元の法則を曲げてまで耳の位置関係を守り通したのです。やはりミッキーはどこから見てもミッキーでなければならない。ミッキーマウスの鉄の掟です。

 あれ?でもディズニーランドにいるミッキーは三次元の法則に従ってるよなぁ…。

 ということで、二次元で完成されたキャラクターを3DCGで再現するのは大変だよね、というお話でした。鉄腕アトムが3DCGで作られることになったら、アニメーターはどうやって解決するんでしょうか。