心は空気で出来ている

空気を読むな、呼吸しろ。

頭の中にあるイメージを絵にするってことが予想外に難しかった話

 先月から、ひかりTVをお試し契約してます。ディズニーチャンネルの「ミッキーマウスクラブハウス」っていう番組を息子がえらく気に入っていて、時々ミッキーのマネをして喋っているという話を以前の記事で書いた記憶がありますが、どの記事だったか忘れてしまいました。たぶん本題じゃなくて前置きでそんなことを書いた気がします。

 それで、最近はショッピングセンターに行っても、子供用のミッキーのカートに乗りたがります。あれ、100円入れるとチェーンにつながったキーが抜けるようになってて、元の場所に戻してキーを挿すと100円戻ってくる仕組みなんですよね。それで同じようなアニメカートがチェーンで縦にズラーッと連結されてるんです。

 そのズラーッと連結されたカートの中から、ミッキーのやつを探し出して、そこだけ抜き取らなきゃいけない。列の最後尾にミッキーがあればいいんですが、そううまくはいかないもので、長い列の途中とか前のほうにミッキーがあると、まずそこから後ろのカートを外して、ミッキーのカートを外して、残りをまた元に戻すという作業が必要になります。100円玉2枚いります。戻ってはくるんですけどね。面倒くさいんですよ。それやってる最中に他の親子が来たりすると、プレッシャー半端ないです。なにやってんのみたいな目で見られたりして。

 ミッキーの前はピカチュウ、その前はアンパンマンといった具合に、もう1年くらい、ショッピングセンターに行くたびまずはカートを探しています。開店間もない時間帯なら、まだカートはいっぱい残ってるんですが、遅い時間に行くと人気のカートは全部出払ってて、目当てのカートを探すだけであちこち歩き回って疲れてしまいます。子供はそれに乗って移動するだけだから楽だけど、親は疲れた上にカート押して歩かなきゃいけないから、さらに疲れるというシステム。困ったもんです。

 今日も、朝から録画したミッキーマウスクラブハウスを見て、そのあと嫁さんが友達からもらった「Beena」っていうセガトイズの知育玩具を出してきて、ミッキーのブックを出してきて遊び始めました。これはテレビに繋いでタッチペンでいろんな遊びができるデジタルおもちゃなんですが、ブックを入れ替えるといろんなキャラクターのいろんな遊びができるという、なかなか高級な代物なんです。 

Beena 本体 ピンク

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Beena ソフト ディズニーたのしいおえかき おみせやさんをつくっちゃおう!

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 そのBeenaでミッキーの塗り絵をやっていた息子が、ふと「ミッキー描いて!」と言ってきました。「お父さんがやるの?」と言ってBeenaのペンを持とうとすると、「違う、これに描いて!」と画用紙を持ってきます。えぇ?自分はデジタル機器で遊んでたのに、俺には手書きを要求してくんの?アナログの温かみが懐かしくなったの?手書きの味が欲しいの?などと思いながら、画用紙に向かいボールペンを持ちました。

 ミッキーは息子と一緒に毎日見てるし、今までだって数えきれないくらい目にしてるし、顔はバッチリわかるよ。そりゃ本物そっくりに描くのは難しいだろうけど、それなりのミッキーは描けるでしょ。

 

 まず、目は縦長の楕円だったよね。

 

 鼻は丸く飛び出してて、ほっぺは膨らんでたよな……

 

 頭と顔の間に境目があって……

 

 耳は大きくて丸い。位置関係がアトムの角に似てるんだよな……

 

 口角がキュッと上がってて、笑顔のミッキー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 誰だこいつ。

 あっれー?おっかしいなぁ……頭の中には本物のミッキーの顔がちゃんとあるのに。それを見ながら忠実に描いたのに。出来上がったのは見たこともないキャラクター。どっか知らない外国のアニメに出てくる感じのやつでしょこれ。聞いたこともない言語で、おっさんの声で喋るやつでしょ。

 これでも僕、自分の絵心にはそこそこ自信あったんですよ。そりゃしょっちゅう絵を描いたりしてるわけじゃないから、趣味で描いてる人ほどの画力はないにしろ、全然絵を描いたりしない人に比べたら、まぁまぁ描けるほうだと思ってましたよ。アンパンマンバイキンマンも、見本なしでそこそこ描けたし。

 それがミッキーにチャレンジした途端、この体たらくですよ。自分の絵心に対する自信が音を立てて崩れ落ちましたね。綺麗に全部崩すつもりで要所要所にダイナマイト仕掛けられたくらいに。嫁さんに見せたら指差して大笑いされました。指差してまで。息子に至っては「違う!ミッキー描いて!」って。これがミッキーを目指していることすら認識されないありさま。そりゃそうだわな。自分でも初見でこれがミッキーだと見抜く自信ないわ。

 この出来事を通じて、アンパンマンの優しさと、やなせたかし先生の偉大さというものを改めて感じました。絵が下手でもそれなりにマネして描ける。すごいことです。単純な幾何図形の組み合わせで、あれだけ魅力的なキャラクターが出来上がる。優しさと緻密な計算に裏打ちされた造形なんですあれは。

 それに対してミッキーの敷居の高さときたら。下手な奴はマネすんじゃねぇぞ的なね。お高くとまってますよね。そりゃライセンス管理に厳しいわけですよ。ビジネスライクなアメリカンキャラクターですよ。なんだよネズミのくせにがっぽり稼ぎやがって。

 自分の画力のなさを、ミッキーへの憎悪に転嫁しなけりゃやってられない気分のごくまでした。それではまた!