※例によってネタバレを含むことを予告します。この記事を読むことによって生じるネタバレに一切の責任を負いません。
というわけで、たまたまFacebookに流れてきた広告を見て、翌日がたまたま休みだったのと、たまたま近い映画館の割引デーだったこともあり、観に行くことを決めた。つまりこの映画を観ることは運命だったと言える。
絵柄は和風というか日本風だ。ファンタジー系RPGにありそうな。しかし主人公のシャオヘイ(人型時)などの丸っこさは、どことなく「スティーブン・ユニバース」を彷彿とさせる。あれも日本風といえば日本風なのだけど。
さらに、色使いが昔の東映アニメっぽい。例えば「太陽の王子ホルスの大冒険」や「西遊記」のような、少々褪せた感じのする地味な色だ。
キャラクターの造形はシンプルだ。朴訥と言ってもいい。このシンプルな造形は、絵柄にそぐわないとも思えるほど、驚異的なスピードとパワーに溢れたアクションを表現するための最適解だったと思う。ぶっちゃけて言えば、この映画のアクションシーンは、私がこれまでに観たどの映画よりも素晴らしかった。
私の乏しい知識で例えるなら、この作品に含まれるエッセンスはジブリであり、マトリックスであり、ついでにアキラである。さらに言えばドラゴンボールであり、そのルーツであるカンフー映画でもある。アメリカのカートゥーンの影響も見える。要するに面白要素がてんこ盛りなのだ。
さてストーリーのほうだが、冒頭は少々掴みが弱く、期待外れかと思えた。しかし劇場作品なので、そこはあまり問題にならないだろう。掴みが弱くとも客は最後まで観てくれる。
何が起きているのかよくわからないまま話が進んでいくので、世界に入り込めず、感情移入もしづらい。それが中盤から主人公のシャオヘイが置かれた状況が明らかになってくると、がぜん没入感が増してくる。
これは、観客がシャオヘイの置かれた状況と心情を一緒に体験している、ということに他ならない。なんのことはない、観ている私は最初から主人公と同化していたのである。
やがてシャオヘイは、仲間と敵、善と悪がひっくり返るという体験をし、それまで信じていたものが揺らぎ始める。ムゲンに出された「善と悪がわかるのか」という問いに直面するのだ。そこで「ぼくが選ぶ未来」という副題がつけられた理由がわかる。
仲間であり善だと思っていた櫻井……いや、フーシーが実はテロリスト的な存在で、自分の力を目的に近づいたのだと分かった時の怒りと悲しみがシャオヘイの力を覚醒させ、物語は収束へ向かう。
余談だが、しばらく前にTogetterでこんな話題がまとめられていた。
「CV.櫻井孝宏のキャラは裏切る」→櫻井さんファン歴17年の人が裏切り率を検証した結果がこちら「裏切り方がえげつないから?」 - Togetter
ティラミスでは最初から裏切ってたもんなー
2020/10/15 17:09
またひとつ、裏切りキャラが増えてしまった櫻井孝宏さんである。
さらに余談だが、終盤で登場した滅茶苦茶強そうなナタというキャラは、全く活躍できなかったのだが、彼の活躍を観てみたいと思うのは私だけではあるまい。この作品の元であるYouTubeチャンネルではもっと出番があるのかもしれない。
最後にまとめると、笑いあり、涙あり、ハイパーなアクションありの、エクセレントな劇場アニメ、それが「羅小黒戦記」なのである。
いや~、アニメって本当に、いいもんですね。