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【映画鑑賞記】『カメラを止めるな!』(2017年・邦画)【ネタバレする】

カメラを止めるな!

唸れ 徒花

朽ち果てても進め

 こないだ、テレビで放送されたのを録画して観たんだけどさ。最近、ますますお金がないから、映画もテレビで録画したやつしか観れないんだよね。

 世間一般でもかなり話題になったから、観た人も多いと思うけど、今さらながら、感想を書くよ。

 俺的には、ネットでもさんざん話題になったから、作品名だけは知ってたけど、内容を調べるとか、他の人の感想を読むとか、そういうの全くしなかったから、完全にまっさらな状態で観られたんだよね。だから、冒頭37分の違和感も含め、素直に楽しめたよ。

 テレビ放映にも関わらず、冒頭37分のワンカットをCM無しで、本当にワンカットで観られた。まぁ、ここは別に切っても問題ないと思うけど、ワンカットというところがひとつのウリみたいだから、演出上は切らないほうがいいのかな。いや、作品内で「30分ワンカットで」って言ってるから、そうしなきゃ意味ないのか。

 最初は、出演者が観ている場面がそのまま現実っていう設定だと思って観るんだけど、演者の挙動不審具合が半端なくて、だんだんそれが怪しくなってくるんだよね。時々、演者の視線が「え?どこ観てんの」っていう動きをするし。それで、これは物語が二重構造なんじゃないかって疑い始めると、映画を撮ってるはずの監督が、カメラ目線で「カメラを止めるな!」って叫ぶ。そこで、疑惑が確信に変わるんだよね。

 で、一旦エンドロールが始まって、次のシーンでは「1カ月前」ってことになる。それで画質もガラリと変わるから、ああやっぱりそうなのか、ってなる。

 映画の後半で、冒頭30分の物語は、劇中劇だったってことがわかる。その劇中劇を作るために悪戦苦闘する監督や役者、スタッフの姿を、面白おかしく、最後は感動的に描く、というのがこの映画の主題だね。

 監督の奥さんと娘が意外に活躍するところが面白かったな。特に娘は映画製作を志す熱いハートを持ってるけど、性格に難アリな描写があって「こいつめんどくせぇキャラだなぁ」と思ってると、それが最後に活き活きと輝き始める。個人的に、この映画の一番の見せ場はこれだな、と思ったね。

 カメラを30分回しっぱなしのワンカットで生中継のドラマを作る、という難題をふっかけられた監督とスタッフ、役者、あと監督の家族、という面々が、物語を形作っていくんだけど、映画の撮影の裏側ってこうなってんのかー、っていうことが見られて興味深かったよ。

 実際、あんな風に作ってるのかどうかは知らないけど、だいたいあんな感じなんだろうね。映画作りに携わった人なら「あるあるネタ」で楽しめるのかもしれないな。

 最後に、本当のエンドロールが始まると、本当のスタッフ目線のカメラ映像が出てくる。そこで、この映画は二重構造じゃなくて三重構造なんだ、ということに気づくんだ。最初に始まる物語が劇中劇で、そのメタ世界である映画の作品世界、さらにその映画を作る現実世界の映像を観て、映画作りって大変だなーと思ったよ。作ってるほうは頭がこんがらがったりしないのかね。

 構造はちょっとややこしいけど、物語自体はシンプルに面白い話だから、ヒットするのも頷けるね。ちゃんとしたエンターテインメントだよ。確か、ハリウッドでも映画作りの裏側を描いた、豪華なコメディ作品があったと思うけど、あれをものすごくコンパクトにまとめた日本版、みたいな感じかな?違うか。

 ともあれ、観ていて普通に笑えて、最後にほっこりする、いい作品だと思うよ。

 では本日もお疲れさまでした。

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