野生の眼がとらえた風
心の牙キラリととぐのさ
子どもの頃、鍵っ子だったのね。
家に帰ると、誰もいないわけ。だから、友達と遊ぶ予定がないときは、だいたいテレビ観てた。家具調のブラウン管テレビで、『遠山の金さん捕物帳』(中村梅之助)とか、『遠山の金さん』(杉良太郎)とか、『水戸黄門』(東野英治郎)とか、『大岡越前』(加藤剛)とか、主に時代劇を観てたな。
もちろん、再放送のアニメもたくさん観たよ。いろいろあってここには書ききれないけどね。
で、テレビを観ながらおやつを食べたいじゃない?子どもだからお腹空くし。でも家にはおやつが常備してなかったんだよね。たまにお菓子を買ってもらったり、自分の小遣いで買ったりしても、即日完食しちゃうから、常におやつ貧乏なわけ。
そんな自分に比べて、姉はお菓子を少しずつ食べる派だったから、もらったその日に全部食べるなんて愚かな真似はしなくて、残しておくんだよね。蠅帳の中に。蠅帳って、今どきの家にはなかなか置いてないよね。傘型のやつなら百均で売ってるけど、ちゃんとした棚型のやつは、売ってるの見たことないな。
で、愚かな子どもだった俺は、姉が残したお菓子をこっそり頂くわけ。いけないとわかっていても、後でしこたま怒られるとわかっていても、目の前の食欲には勝てないんだな。そうして蠅帳の中の姉のお菓子をくすねると、姉のほうであそこは危険だってことを学習するから、自分の勉強机の引き出しにしまったりするんだよね。一番上の、鍵のついてるところに。もうね、お菓子に飢えた俺は、蠅帳だろうが勉強机だろうがおかまいなしに漁るから。見つけたら即完食だから。手癖の悪い子どもだったね。
そうすると、自分の手の届く場所からお菓子がなくなるわけ。仕方ないから、ジャーの中に残ったご飯でお腹を満たそうと思ったんだな。
だけど、あくまでおやつだから、本格的におかずと一緒に食べるわけにはいかない。蠅帳の中に残ってるおかずは、だいたい子どもが手をつけなかったものだから、いくらお腹が空いたからって、食べられるもんじゃない。わざわざ嫌いなものをおやつとして食べるわけもない。
だから、基本はふりかけをかけて食べるスタイルになる。しかし、ふりかけも常備してあったわけじゃないし、毎日じゃ飽きるから、いろんなものをご飯にかけるようになる。
まずは塩。これはご飯にかけるよりは、ご飯を握ったほうがおいしく感じるから、普通におにぎりになる。
次に醤油。かけすぎると食べるのがツラくなるから、味を見ながら調整する。
醤油とくれば次はソース。ご飯にソースをかけるだけで、なんだか洋食を食べてる気分になる。たまにケチャップなんかも混ぜたりすると、よりゴージャスに。
一番贅沢なのは、焼き肉のたれ。これをご飯にかけるだけでもうごちそう。あくまでおやつとしては、だけどね。
焼き肉のたれがなくなって、もうちょっと新鮮な味が欲しいなぁと思っていると、マヨネーズがある。マヨネーズご飯。まさか「土方スペシャル」みたいなことにはならないけど、まぁ普通においしいよね。
今だったら、これらの調味料をブレンドしたりして、さらにバリエーションを楽しめるんだろうけど(やらないけど)、子どもの頃だからそこまで頭が回らない。
あっ、あと忘れちゃならないのがきな粉ご飯ね。きな粉に砂糖と塩少々を混ぜてご飯にかける。これはもう本格的におやつとして通用するね。きなこのぼたもちみたいなもんだから。米の種類が違うだけだから。
そもそもなんでこんな話を書こうと思ったのかっていうと、息子氏が最近塩コショウにハマってて、ご飯に塩コショウをかけて食べることがあるからなんだよね。あんまり体に良くなさそうだから、たまにしか許可しないけど。
そんなこと言ったら、毎日のようにご飯に調味料かけて食ってた自分の子ども時代は何だったのかって話。あんなものばっかり食ってたから肥満児だったのかな。きっとそうだ。子どもだから平気だったけど、今あんなもの毎日食ってたら、血圧だの血糖値だの中性脂肪だの尿酸値だのが爆アゲだよね。おそろしいおそろしい。
てなわけで、本日もお疲れ様でした。
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