心は空気で出来ている

空気を読むな、呼吸しろ。

【TV番組】アナザーストーリーズ「“北斗の拳”誕生~舞台裏のもう一つの“格闘”~」【NHK】

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冷めたハートじゃ 愛せやしない

待ち続けても 夜明けは来ない

 去年の11月の放送を録画しておいて、ようやく観ることができた。

 少年ジャンプを毎週愛読する”ジャンプ少年”だった私にとって、『北斗の拳』はジャンプを象徴する作品のひとつだ。カラーのケンシロウが表紙を飾るだけで、読む前からワクワクしていたことを覚えている。

 ジャッキー・チェンの映画をきっかけに、中国拳法にハマっていた頃だったので、『北斗の拳』のスタートはタイムリーと言う他なかった。漫画ならではの突拍子もない設定と、それにリアリティを与える精緻な絵柄。ハマらない理由が見当たらないとはこういうことだ。

 驚いたのは、作画の原哲夫先生がまだ57歳だということ。『北斗の拳』の連載を始めた頃はまだ21歳だったという。確かに漫画家のデビューは早いことが多いが、それにしても、あの絵柄を21歳という若さで描けたことがすごいと思う。連載開始当時から、ほぼ絵柄は完成されていて、新人とは思えない精緻さだった。

 新人発掘に力を入れていたジャンプで、新人が連載開始となると、だいたいまだ絵が未熟で、一目見て新人だとわかるレベルの人が多かった。原先生の絵は、第1話からすでにベテラン作家の風情を漂わせていた。だから、もっと年齢が上だと思っていたのだが、実際には10歳も離れていなかったのだ。

 『北斗の拳』の前に『鉄のドン・キホーテ』という作品を連載していたので、厳密には新人ではないが、その作品は10話で打ち切りの憂き目にあっている。私も、その作品が連載されていたという記憶はあるが、読んだ記憶がない。それくらい人気がなかったのだろう。

 番組で、高校時代に描いたという漫画のページが公開されていた。連載当初の『北斗の拳』よりずっと劇画調で、書き込みも多い。池上遼一先生に影響を受けたのかな、と思わせるような絵柄だった。しかし、子どもの頃に読んでいたのは赤塚不二夫先生のギャグマンガだったそうだ。だけど、さすがにバカボンの絵柄には影響を受けてなさそうだ。

 ただ、『北斗の拳』で有名な敵キャラの断末魔「ひでぶ!」や「あべし!」といった音声は、赤塚マンガの影響があるということを番組中で語っていた。人が死ぬシーンが重くならないよう、笑いの要素を入れたかった、とも語っていた。なるほど、である。

 原先生をはじめとして、私が少年時代に好んで読んでいた漫画家の先生方は、まだまだ現役で作品を描いているが、今はもう読まなくなってしまった。漫画を読む機会そのものが減っていることもあるが、年齢と共に、感性が変化してきたというのもあるだろう。寂しい気もするが、やはり少年漫画は少年が読むものなのだろう。中年には中年の漫画がある。

 漫画がまだ、子どもの読み物とされていた時代に、今も語り継がれる多くの名作に触れられた私は、幸せな世代なのだな、と思う。

 本日はこれにてお粗末。

SILENT SURVIVOR(Hard ver.)

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TOUGH BOY(21st century ver.)

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Dry Your Tears (Reboot Version)(remastered)

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