バラバラ死体が上がったら
たぶんそれは私だよ
大晦日、USAでひとしきり踊って汗をかいた。
さて今日の昼間のこと。録り溜めたテレビ番組を消化しようと、録画リストを眺めていて、NHKで放送されていた『英雄たちの選択スペシャル「ニッポンを斬る!歴史を創った名刀たち」』を観ることにした。
昨今、刀剣乱舞というゲームをきっかけとして、”刀剣女子”なる人種が台頭しているらしい。紅白歌合戦でも、刀剣乱舞のコーナーが設けられていた。しかし、それ以前から刀剣に興味を持っていた刀剣オヤジとしては、このにわかブームを少々苦い思いで眺めている。
このブログでも、過去に刀剣の展示を見に行った時のことを、何度か記事に書いた。今までなら、刀剣の展示でそこまで混雑することはなく、じっくり眺めてその美を堪能できたのだが、これだけ女子が群がる状況にあっては、おっさんが刀剣の見学に赴くことへのハードルが異常に高くなったと言わざるを得ない。早いとこ、このブームが去ってくれることを祈っている。
しかし、このブームのおかげで、これまで見られなかった刀剣が展示される機会が増えているのも確かだ。それはそれでありがたい一面もあるのだが、せっかく展示イベントが増えても、私が見られないのなら意味はない。やはりブームは去って欲しい。
そんな愚痴はさておき、番組の中で、刀工が刀を鍛える場面があったのだけど、それを見ていて思い出したことがある。
子どもの頃、外で遊んでいると、なぜかたまに五寸釘が落ちていることがあった。その五寸釘を拾ってきて、コンクリートブロックの上に置いて、少し重めの石でガンガン叩く。どんどん平らに潰して、十分に薄くなったところで、水場の滑らかなコンクリートで研いで、小さな刀を作る。そんな遊びをやっていた。
まだ借家住まいの頃だから、小学校低学年のことだ。たぶん、基本的なやり方は、従兄に教えてもらったのだと思う。私はそこに「研ぎ」の工程を加えて、より鋭い刀を作ることに成功した。
その切れ味は、ほぼカミソリ並みに鋭く、姉や従姉たちがママゴトで使う包丁として、非常に高い評価を得た。青菜代わりの雑草がスパスパ切れると評判だった。
しかし、調子に乗って五寸釘を見つけるたびに包丁に加工していたら、ある時自分の指をスッパリ切ってしまった。そこそこ深く切れたようで、それまで見たことのない勢いで血が流れてきた。ビビッて母親に泣きついたら、そんなもの作るなと怒られて、私の刀工としての活動は終焉を迎えたのだった。
思えば、私はその頃から刀に興味があったのだろう。時代劇や特撮、ロボットアニメの武器、そしてルパン三世の五右衛門が使う斬鉄剣。刀は、私にとって非常に魅力的な「力」の象徴だったのだ。そこが、擬人化された「刀剣男子」に魅力を感じる”刀剣女子”との違いであろう。
私にとって、刀は「美」である以前に「力」なのだ。圧倒的な切れ味と殺傷力で他者を圧倒する、武器としての刀。刀の美しさの向こうには、死を予感させる恐ろしさと、魔性がある。その魔性あってこその「美」であろう。
ところであの頃、家の近所には、なんであんなに五寸釘が落ちていたんだろう。不思議。
ということで、本日はこれにてお粗末。
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