手負いの獣にとってやさしさは
危険を招く罠になると
岐阜県を発端とする豚コレラ騒動。9月に始まって以来、いまだ終息の兆しは見えず、野生の猪などを介してますます広がっている模様。むしろパンデミックの兆しが見えてきたような、そうでもないような。
県営公園で飼育されていた展示・鑑賞用のミニブタまでもが、検査を経ないまま感染予防として殺処分された。「とん吉」「とん平」という名の2頭で、公園に訪れる人に可愛がられていたという。農水省によれば、適切に管理していれば殺処分の必要はなかったそうだ。
野生の猪からウイルスが見つかった例はすでに60頭目、最初に感染が発覚した養豚場で610頭、2例目の県畜産センター公園で23頭、3例目の県畜産研究所で503頭の豚が殺処分となっている。合計頭数は1138頭に上る。
これが可哀そうだとかもったいないとかいう話は置いといて。
例えば、そのまま生かしておいたら、ウイルスに感染しても、自然に生き残る個体もいるのではないだろうか。致死率が高いといっても、100%ということはあるまい。治療法はないということだが、豚に免疫はできないのだろうか。
養豚場などで感染が発覚した場合は全頭殺処分ということになるようだが、これで感染拡大が防げないとなると、全頭殺処分を繰り返して、いずれ国内の豚が絶滅するのではないかと心配になる。
最も防疫体制が強力なはずの畜産研究所で飼育されていた豚が感染し、全頭殺処分の憂き目にあっているのだ。すでに野生の猪に感染が拡大していて、そこからの感染を防ぐ手立ては、事実上ないと言ってもいいだろう。
猪経由でなくとも、ネズミやリスなどの小動物、カラスなどの鳥、あるいは蚊や蠅などの虫が、ウイルスを媒介することはないのだろうか。もしそれらが感染源となったら、もうどうしたって防ぎようがない。
命を「肉」として大量に消費してきたツケが回ってきたのかもしれないな。今回の騒動で殺処分される「肉」の量と、売れ残って廃棄処分される「肉」の量、年間で比較すると、どっちが多いんだろう。
いずれこの騒動も終息して、また命の大量消費が何事もなく継続するのだろうか。正解のない問題だけれど、なんだか腑に落ちなくて、ぼんやり考えてしまう。
ということで、本日はこれにてお粗末。
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