Here come bad news, talking this and that
小学2年生の息子氏と出かけると、車を降りるなり駆け出したり、駐車場をスキップしながら移動したりと、肝を冷やすことが多い。
そんな息子氏を見ていて思い出したこと。
私が小学生のころ、同級生の友達の家に遊びに行き、そこに集まったみんなで、河川敷のグラウンドまで自転車で出かけようということになった。
友達の家から、そのグラウンドまでは一本道。しばらく走っていると、堤防道路に上がっていく坂道が見えてきた。
すると、友達のS村が、おもむろに立ち漕ぎでスピードをあげていき、ぐんぐん先へ進んで行った。一瞬、どうした?と顔を見合わせる他の友達。それからすぐに、S村が坂道を一気に駆け上がろうとしているんだとわかった。みんなはペースを変えずに、後ろからS村の走りを見ながらついていった。
先に行ったそいつが、いよいよ坂道にさしかかろうという時、その手前の十字路の左手から車の鼻先が見えて、キキーッという派手な急ブレーキの音が響いた。
凍りつく空気。
S村はその時すでに十字路を通り過ぎて、坂道を登り始めていたが、急停車した車の窓から怒鳴っているおじさんのところまで、バックですごすごと戻ってきた。
しばらくおじさんに怒られたS村。私と他のみんなは自転車を止めてその様子を離れたところから見ていた。下手に近づけば巻き添え説教をくらいかねない。みんな他人のフリ。
車が行ってしまうと、私たちはS村に近づいていって「危なかったなぁ~」と口々に言い合った。S村もバツの悪そうな顔で、少々青ざめていたような気がする。
あの場にいたみんなは、学校でうるさく言われる交通安全教育よりも、はるかに強烈に、事故の怖さを実感したはずだ。
あれからおよそ40年。未だに、自転車に乗るとやたら用心深くなる。車を運転している時より神経が張っているかもしれない。たまにしか自転車に乗らないから、余計にそうなのかもしれないけど。
とはいえ、あの時一番肝を冷やしたのは、間違いなく車を運転していたおじさんだろうな。