ペンデュミオンの螺旋

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夢の国の狂気

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今頃喉元過ぎた所右に曲がって広場のベンチでさ

休んでアイスでも舐めてるんだね

 過日、オリエンタルランドが運営する「東京ディズニーランド」で働いていたキャスト2人が、パワハラを理由に訴訟を起こしたというニュースがありました。

 過酷な労働環境による身体的苦痛と傷害、上司からの暴言による精神的苦痛などが、訴えを起こした理由だということです。

 このニュースを聞いて、というわけではなく、私はもともと遊園地というものがあまり好きではありません。まして遊園地のラスボスのような、東京ディズニーランドに至っては、好きではないを通り越して苦手意識がある、と言っても過言ではないでしょう。

 東京ディズニーランド(以下TDL)に遊びに行ったことはあります。2回だけ。昔付き合っていた彼女と1回、結婚して子どもができてから家族で1回。

 苦手意識があるからといって、楽しめないわけではないんです。ただ、私が楽しいのは一緒に行く誰かが楽しんでいるからであって、私自身が直接TDLを楽しいと思っているわけではないのです。一緒に行きたいという相手がいるから行くのであって、私が行きたいと思ったことはありません。

 なぜ苦手なのかという理由は、あまりきちんと考えたことがありませんでしたが、今回のニュースをきっかけに少しちゃんと考えてみました。

 まず考えられるのは、TDLの姿勢が、あまりにも来場者を楽しませようとし過ぎている、と感じること。「ほら楽しめ、さぁ楽しめ、楽しいだろう?なぁ、楽しいだろう?ええ?ほら、ほらほらほらぁ」という感じがするのです。ほら見ろ楽しいだろう、というドヤ感がすごい。これだけサービスしてやってるのに楽しめない奴は人として失格、みたいに言われているような被害妄想すら湧いてくる気がします。

 さらに、楽しませようとする意図が見え過ぎていることと関係していますが、その意図的な過剰演出からくる人工感。すべてが作られた楽しさ、作られた造形、作られた色彩、作られた笑顔……そう、人工的なのです。人によって計算され、作られた世界。一切の自然物が排除され、あらゆるものが人を楽しませるために計算された世界。TDLの世界を歩いていると、そんな印象を受け、得も言われぬ違和感を覚えるのです。

 私が幼いころに親しんだ田舎の遊園地は、山を切り開いて作られ、自然の真っただ中にありました。園内を歩けばいろんな鳥や虫がいて、カラスがゴミ箱をあさり、スズメが落ちた菓子をついばみ、トンボや蜂が飛んでいて、木の枝は毛虫だらけ。周りは山しか見えず、観覧車で高いところに上がれば、遠くに雪をかぶった高い山並みや、山あいを流れる雄大な川の流れ、大小さまざまな建物が雑多に広がる街などを見渡すことができました。

 古い遊園地は作りが雑です。ゴルフ場のように、いかにも自然を破壊して作りました、というのが見え見えです。しかしそれが、日常世界を離れて楽しく遊ぶ子ども心に、現実との繋がりを感じさせていたように思います。

 TDLにはそれもない。一切が現実から、そして自然からも隔離されている。私はそこに、狂気じみたものを感じずにはいられません。

 なので、今回のニュースで上司から暴言を吐かれたり、体を壊すまで踊り続けなければならなかったキャストの話を知って、何か腑に落ちたような気がしました。あんな世界を構築するために働いている人が、健全な精神状態でいられるわけがないと思うのです。

 大人になっても、TDLのような世界が楽しいとか、何度でも行きたいと思うような人は、いったいどんな日常生活を送っているのだろうと思います。生活の外面ではなく、内面的に。あの世界を本気で楽しめる人の内面世界は、日常や現実をどう受け止め、どう感じながら生活しているのか、ちょっと想像したくない気がします。あの世界に行きたいということは、現実や日常がいかに楽しくないか、ということの裏返しではないかと思います。

 そういう人たちが集まり、日常の退屈や憂さを置いていく場所。それがTDL。年間で3千万人もの人が、あの場所で楽しさを受け取り、代わりに退屈と憂さを置いていく。年間3千万人の退屈と憂さが、あそこに集積されていくのです。その集積された退屈と憂さを処理するのが、あそこで働く人達の仕事。彼らは自らの光と引き換えに、闇を受け取っているのではないだろうか、そんなことを考えてしまいます。

 私は決してTDLが嫌いなわけではありません。昔、一緒にTDLに遊びに行った彼女が、家族へのお土産を買いたいと言って、私と一緒にショップで選んだお土産が、他の男にプレゼントされていたとか、そんなことは全くTDLの評価に関係ありません。あくまで私個人の価値観において、TDLのような輝かしい世界の裏には、闇が渦巻いているに違いない、と思っているだけです。

 ということで、本日もお粗末さまでした。

泡のような愛だった

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