ハッカのせいにしたつもりだけど
きみはわかっていたのでしょう
もう十年以上も前の思い出話ですが、とある出来事をきっかけに思い出したので書きます。とある出来事については触れないでおきます。
どこだったか忘れましたが、ネットのとある場所で「(玉)袋にハッカ油を塗ると涼しくなれる」という情報を見つけました。当時は一人暮らしで、クーラーもないボロアパートに住んでおり、夏は窓を開放して扇風機を回し、氷枕を敷いて蒸し暑い夜をしのいでいました。
たとえ錯覚だとしても、涼しくなれるならなんでも試そうと思い、ヘルスバンク(地元のドラッグストア。今はマツキヨグループに入っている)でハッカ油を買ってきました。蓋を開けるとものすごい涼しそうな匂いがします。その情報には、薄めるともなんとも書いていなかったので、原液のまま(玉)袋に塗ってみました。
男性限定になりますが、その結果がどうなるか知っている人は知っていると思います。
激痛。
それも、今まで感じたことのない、燃え上がるような痛み。(玉)袋が炎上しています。消防車を呼ぼうかと思うほどの熱さ。いや救急車か。
苦痛に顔を歪め、変な声を出しながら、風呂場に駆け込み、水で流しました。ところが相手はハッカ油。油っていうくらいですから、水をはじくんです。いくら水で流しても、炎の勢いは収まりません。
いかん。これはいかん。このまま炎上が収まらなかったらきっと死ぬ。風呂場で(玉)袋からハッカ油の匂いを放つ死体になってしまう。パニクった頭で必死に対応策を考えます。
そうだ!油なら石鹸で落ちるはず。急いで石鹸を手に取り、泡立てて、痛みに耐えながら必死に(玉)袋を洗いました。
石鹸が功を奏し、徐々に痛みは治まっていきました。そして、本来の目的である清涼感を股間に纏いながら、風呂場から出て、股間を拭きました。
本当は、もっと水で薄めて使うべきだったのかな。その時は素直にそんなことを思いましたが、実は私のようにハッカ油を使って、激痛に悶え苦しんだ経験を持つ諸兄がいることを後で知りました。誰かが男性諸氏を苦しめるために考案したガセネタなのか、それともあの情報には薄めて使うという大事な部分が抜け落ちていただけなのか。真相は謎のままです。
どちらにせよ、身をもって学習した私は、ハッカ油を(玉)袋に塗ることをやめました。入浴前に浴槽に少量垂らして、ハッカ湯にすることで、風呂上りの清涼感を味わうという使い方に変更しました。
考えてみれば、ハッカ油とはすなわちハッカの精油。凝縮されたエッセンスです。清涼感を通り越して、灼熱地獄を顕現するという可能性も、想像できなくはない。今にして思えば、ですけど。
今のアパートはエアコンがあるので、ハッカ油に頼らなくても快適な生活ができています。
ところで「ハッカ油と玉袋」って、七五調でリズムがいいタイトルですよね。自画自賛。
あと「玉袋」は普通に読むと「たまぶくろ」ですが、音読みにすると「ぎょくたい」になります。ちょっと気品があふれてきませんか。中国の王朝で大事にされてた宝物的なものを想像させます。KOEIの三国志でも重要なアイテムとして登場しそう。「魏の曹操より友好の印として玉袋(ぎょくたい)が贈られました」みたいなね。三国志はよく知らないので適当ですが。
とにかく、「ぎょくたい」にハッカ油を塗るのは自殺行為に等しい、という話でした。
それでは本日もお粗末さまでした。