Can't gone livin' without you,
girl
Isolation
「アイソレーションタンク」というものをご存知でしょうか。
簡単に言うと、人の感覚刺激を極力減らすことで、リラックスなどの心理的効果があるとされる装置です。
私が初めてアイソレーションタンクを知ったのは、1990年代前半、ジョン・C・リリー著「意識(サイクロン)の中心―内的空間の自叙伝」(菅 靖彦訳・平河出版社)を読んだ時です。
それより遡ること数年、たしか中学生の頃にテレビの洋画劇場(何曜日か忘れましたが)で「アルタード・ステイツ」を観ました。その作品は思春期の私に強烈な印象を残していました。その映画の主人公のモデルがジョン・C・リリーだと知って、興味深く読んだ記憶があります。
ちょうど、意識とは、自分とは、生きる意味とは何なのか、というような問いの答えを渇望していた時期で、強いインスピレーションを感じた本です。いつか、自分もアイソレーションタンクに入って、意識の深淵、あるいは命の根源を辿ってみたいと思っていました。そして、自分を日々苛む苦悩から解放されたいと願っていました。
そういった、若さゆえの苦悩に悶える日々を乗り越え、二十数年後の今は貧乏ゆえの苦悩に悶える日々です。
そんな私も、時折ふっと訪れる解放感、悩みが消え去る瞬間を体験することがあります。そういう時は、だいたい一人で車を運転していることが多いです。
車という密閉空間が、雑念を払い、意識を集中するのに適しているのでしょうか。日頃、雑念に遮られて見ることのできない心の奥底が、車を運転している時にはうっすらと透けて見えてくるようです。
つい最近も、ここ数カ月にわたって心を曇らせていた何かが、すっきり晴れ渡るような感覚を味わいました。薄闇をさまよい続けていた心が、急に青空の下に出たような、晴れ晴れとした気分。迷いが消え、心が定まった感覚。それが訪れたのは、朝の通勤時の車の中でした。
それで、車の中も一種のアイソレーションタンクみたいなものなのかな、と思った次第です。いろいろなものから隔離され、一人の空間にいると、自然に自分自身と向き合うことになります。誰にも気兼ねすることなく、最も自然な自分でいられる時間を大切にしたいですね。
ではまた!
意識(サイクロン)の中心―内的空間の自叙伝 (mind books)
- 作者: ジョン・C.リリー,菅靖彦
- 出版社/メーカー: 平河出版社
- 発売日: 1991/01
- メディア: 単行本
- クリック: 4回
- この商品を含むブログ (5件) を見る