心は空気で出来ている

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【ショートショート】23世紀のゴールデンウィーク

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 夢も冒険もざんねん ずっとお休み

 ショートショートで食いつなぐブログ。では今日もいってみよー!

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 今日からゴールデンウィークだ。

 しかも今年は9日間まるっと続けてゴールデンウィーク。最高。

 会社によっては9日連続っていうわけにはいかないところもあるようだが、それは仕方ない。俺の勤めている会社は、業界ではそこそこ大手なので、だいたいゴールデンウィークは7日~9日といったところだ。

 もっと大きな会社だと、11日とか12日連続なんていうところもある。それはちょっとうらやましいが、あまり長いのも、かえって疲れるんじゃないだろうか。

 およそ半年ぶりに会う同僚は、去年のゴールデンウィーク以来ずっと副業をしていたそうだ。よほど仕事が好きなんだろうが、俺はそこまでじゃない。あまり仕事をしすぎると、仕事のありがたみがわからなくなりそうだ。金を貯めたからといって、物欲に乏しい俺には使う当てもない。そもそも金を払って買うようなものに、あまり興味がないのだ。

 昔はゴールデンウィークといえば、仕事をしない「休日」とやらが連続することを言ったそうだ。今と違って、昔は人が働かなくちゃいけなかった。だから働かなくていい日のほうがありがたかったんだな。

 22世紀初頭、テクノロジーの進歩は人を労働からほぼ完全に解放した。しかし、人は働かないことに極度のストレスを感じることが明らかになったんだ。労働を失った人々は、最初はとまどい、やがて喜び、大騒ぎになり、そして失望した。ヒマであることが、彼らから生きる意欲を奪ってしまった。

 ヒマすぎて自殺する者が後を絶たなくなって、企業は再び人々に労働を提供することになった。それはかえってコスト増を招いたが、労働を求める人々の暴動や自殺を止めるためには必要なコストだった。

 そして、長い休日を指す言葉だったゴールデンウィークは、年に数回の労働期間を指す言葉になった。人はこの間に生きる意欲を取り戻し、そして次のゴールデンウィークまでダラダラと暇をもてあましながら人生を繋いでいく。

 もちろん、世の中には特殊な仕事もあって、年がら年中働いて、仕事をしないのは年に数日なんていう、一年のほとんどがゴールデンウィークみたいな人間もいる。だがそれはほんの一握りのエリートだけだ。

 俺みたいな凡人は、年に何週間か仕事ができれば、それで満足なんだ。自分でも安上りな人間だと思う。一日中、テレビを眺めてぼんやりしてても、たいして苦にならないし、死にたいとも思わない。仕事を通じて自己実現をしたいなんて思ったこともない。何か目的があって生きているならそれもいいだろうが、生きていくのに何か御大層な目的が必要だとも思えない。

 世の中、ほとんどの人間はそんなもんだろ。

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  世はまさにゴールデンウィークということで、ゴールデンウィークネタでした。この記事だけで何回ゴールデンウィークって書いたかな。

 ではまた!

 

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