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【ショートショート】N教授の研究成果

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 美貌 恨み 乗り越え 夜通し寝過ごそう

 昨日のショートショートが意外と好評だったので(嘘)今日もショートショートを書きました。星新一風です。

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 N教授は、世界屈指の脳外科医である。

 彼の長年の研究テーマは、人の脳を、機能を損なうことなく体から取り出し、意識を保持できるのか、というものだった。

 倫理的問題により、その研究を実行に移すことに関しては、当然ながら様々な障害があった。しかし、およそ20年にわたる研究の成果は、その試みが成功することを保証していた。

 やがて、老化や病気といった肉体的な問題の解決策として、N教授の研究は富裕層を中心に支持を集め、世界初の臨床試験にまでこぎつけた。これが成功すれば、老化や、病に侵された体から脳を取り出し、意識を保ったまま生き永らえさせることができるようになるのだ。

 人生において、多くを手にした人間ほど死を忌避するものだ。臨床試験への参加を希望する金持ちは何人もいた。教授はその中でも、比較的若くして不治の病に侵されたM氏を、最初の手術の実験台として選んだ。

 長時間にわたる手術の末に、M氏の脳は無事に取り出され、様々な検証を通じて、意識を保っていることが確認された。

 脳を格納している容器には、各種センサーが取り付けられ、あらゆる角度から脳波を検出することで、意識が生み出す思考を読み取るできる。また、コンピュータからの信号を微弱な電流に変換して脳内に送り、コミュニケーションをとることもできる。

 しかし、脳は教授の呼びかけに応答しない。生理学的には、生きていることは間違いない。脳波も正常で、何らかの意識活動があることが読み取れる。コンピュータからの信号に脳波が反応しているので、教授の呼びかけは”聴こえている”はずだ。にもかかわらず、手術が成功してから一週間、M氏の脳からは何の応答もなかった。

 手術から十日後、脳に接続したコンピュータに反応があった。リアルタイムではないが、深夜に応答があったことがコンピュータのログから読み取れた。教授は、コンピュータに接続したマイクを通じて、再び脳に呼びかけてみた。

 すると、スピーカーから男の声が ー合成音声ではあるがー 聞こえてきた。

 「教授……N教授……」

 「おお、M氏だね。眠っていたのかい」

 「教授、眠っていたのはあなたですよ」

 「なんだって」

 「私はあなたの研究理論に基づいて、あなたの脳を取り出し、コンピュータに接続して、こうして会話しているのです」

 「そんなバカな。それは逆だろう。私が君の脳を取り出したのだ」

 「……夢を見ていたのですね。あなたは志半ばで病に倒れられた。私がその遺志を引き継ぎ、あなたの体を実験台として、脳を取り出す手術を行ったのです。あなたの同意書もここにありますよ」

 コンピュータのモニタには、白衣を着たM氏が、手術の同意書を持って映っていた。

*****

  豚の脳を取り出したとかいうニュースを見て思いつきました。

 ではまた!

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