生乾きのパンツを穿き、居心地悪そうにしてるごくまです。
中学に上がった頃、とある病気をしました。それで体力がなかったので、体育の授業の、準備運動程度のランニングでもかなりキツかったです。
最初は、病気だということがわかっていなくて、単に体力がないだけと思っていたので、苦しくてもがんばって走っていました。しかし体はついていかないので、みんなからどんどん遅れて、ゼーハー言いながら走っていました。
それを見ていた体育の先生が、もう無理だと思ったのか「それ以上走ったら死んでまうぞ。休んどけ」と、ひとり遅れて走っている私に言いました。
とても苦しかったので、休めるのは良かったのですが「死んでまうぞ」という一言がズーンと心に響いて、運動場のトラックから離れて、隅のほうに歩いていく時に「おれ……マジで死ぬのかな……」と思いました。
そしたら無性に悲しくなってきて、涙が止まりませんでした。泣いていることがバレると嫌だったので、なんとか隠そうとしながら、運動場の隅に歩いていって、階段のところに座りました。
階段に座るまでになんとか自分を落ち着かせて、涙を拭いて授業を見学しました。
もともと運動が得意ではなかったし、走るのも苦手だったので、みんなについていけないことが悔しかったわけではありません。
その時の体育の先生は、軽い冗談のつもりで言ったのでしょう。それはその時の自分にもわかっていました。だからその先生のことを恨んだり嫌ったりということはありません。
ただ「死ぬかもしれない」と本気で思ってしまって、自分が死んだらどうなるだろうと考え出して、悲しくなってしまったのだと思います。
若くして死んでしまう自分が可哀そうだと思ったんでしょうか。とにかく、ほんの10メートルほどの距離を歩いていくまでの短い間に、いろんなことが走馬灯のように脳裏をよぎって、死ぬということがリアルに目の前に感じられました。
そのあと「死んでまうぞ」の一件は、意識的にはそれほど引きずることもなかったのですが、心の奥にかなりの衝撃を与えたと思います。
それ以降、人生って何だろう、生きるとか死ぬとかってどういうことだろう、死ぬとどうなるのか、生きることに意味はあるのか、なんてことを考えるようになりました。それで、人生とは、生死とは、この世界の真理とは、みたいな本を読み漁るようになりました。でもなぜか哲学や宗教にはあまり近づきませんでした。難しそうだったから。
あの出来事が自分の心に与えたのは、傷ではなくて衝撃でした。だから、思い出して辛いということはないのですが、その後の自分の人生観の構築に大きく影響したという気がします。
息子氏の通う小学校の卒業式の話を聞いて、思い出した一件でした。
ではまた!
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