心は空気で出来ている

空気を読むな、呼吸しろ。

黒電話とiPhoneの通話 ~54年の歴史を越えて~

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 年末です。大晦日です。大掃除です。

 私の担当はトイレとベランダと玄関。あとは適当に細かいところを。子どもは掃除機掛けをするのかと思いきや、掃除機と格闘しているようにしか見えません。嫁さんは押入れの整理とガスレンジと換気扇。

 私も嫁さんも整理整頓清潔清掃は得意なほうではないので、傍から見ても、どこがどう綺麗になったのかよくわからないかもしれません。 そんな両親に育てられる子どもはきっと掃除が苦手な大人になることでしょう。できればならないでほしいけど。

 そんな折も折、押入れの片づけをしていた嫁さんが、スーパーの袋に入った黒電話をガサガサと出してきました。実家で使わなくなったものだそうです。なんでそれがウチの押入れにあるの?実家で捨てられそうになっていたものをもらって、押入れにしまっておいたそうです。嫁さんには、面白いと思ったものはなんでも取っておく習性があります。この黒電話もその習性に則って保管されていたようです。

 私の実家でも、高校生くらいまでは黒電話が現役でしたが、およそ30年ぶりに見る黒電話は、思い出の中のそれよりでかく、ずっしりと重たい機械でした。ちょっと動かすと「チン……」とあの懐かしい音がしました。子どもにとっては初めて見る機械。受話器を上げたり、ダイヤルを回したり、珍しそうにこねくり回します。

 テレビの下に光回線の端末が置いてあり、裏向きにしてあるのですぐにコネクタ類を抜き差しできます。試しに今使っているFAX電話のモジュラージャックを抜いて、黒電話のジャックを差し込んでみました。

 受話器を取ると「プー……」とダイヤルトーンが聞こえます。おお、ちゃんと使えるようだ。私のiPhoneにダイヤルしてみます。ジーーーコロコロコロコロ、ジーーコロコロコロ、ジーーーコロコロコロコロ、ジーコロコロ、ジーコロコロ、ジーーコロコロコロ……長い!10桁のダイヤル回すのにすごい時間かかる!ボタンをピポパと押すどころか、履歴から選んでタップするだけの操作に慣れた指には、なんとも面倒な作業です。

 ようやく10桁の番号を回し終えると、プップップッと発信音が鳴り、プルルルル……と呼び出し音が聞こえます。すぐ後ろで机の上のiPhoneがブルブル言い出しました。この瞬間、黒電話からiPhoneに回線を繋ぐことに成功したのです!まぁ電話なんだから当たり前だけど。

 子どもに黒電話の受話器を渡し、私はiPhoneを持って別の部屋に移動します。当たり前だけど、ちゃんと会話もできました。Wikipediaによれば、このタイプの黒電話は1963年(昭和38年)から稼働しているそうで、54年前の機械が、21世紀の最新テクノロジーを使った機械と問題なく通信できるというのは、すごい下位互換性だなと思いました。

 ちょっと感動しちゃったので、前より丁寧にプチプチで包んで、うやうやしく再び押し入れにしまっておきました。次に日の目を見るのはいつになるでしょう。

 今年のブログ更新はこれが最後になります。10月末から思いつきでブログタイトルを変え、毎日更新を始め、自分でも意外なことに年末まで続きました。どこまで続くかわかりませんが、やれるとこまで毎日更新したいと思います。

 ではまた来年!よいお年をお迎えください。

 

タルガ 貯金箱 昭和名曲 電話銀行

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