学校は冬休みに入り、子供は休み中なのですが、私も嫁さんも働いているので、児童館で一日を過ごしています。
それはそうと、NHKラジオ第一では、夏休み子ども科学電話相談に続いて、冬休みも子ども科学電話相談をやっています。年越しをまたいで来年の1月8日まで、年末年始の休みを挟んで毎日放送する予定になっています。
日中、パソコンをつけっぱなしにしておいて、ネットラジオで録音し、例によってiPhoneに移して車中で聴いています。子どもの相談に答える先生方は、夏休みとだいたい同じラインナップ。その道の専門家というだけあって、みんなそこそこクセのある人ばかりです。
そんな中、ある小学生の女の子の質問で思い出したことがあります。彼女は、カマキリの卵を見つけたので、育ててみたいけど、どうやったらいいか、という内容の質問をしていました。
それに答えたのは、昆虫の専門家・久留飛克明先生。ゆったりとした関西弁で、その口調に似合わず、子ども相手にしては少々スパイスの利いた返しをする先生です。
カマキリの卵は栄養がたくさんだから、鳥の大好物だとか、ひとつの塊の中には100~200個くらいの卵が入っていて、みんな一緒にすると共食いするから、ひとつの卵にひとつの虫かごを用意しなくちゃいけないので大変だとか、いろいろ無茶なことを言います。
質問の電話をしてきた女の子も、むごい話を聞いて途中からちょっと元気がなくなっちゃったようで、電話を切るころには声に力がなかったような気がします。気のせいならいいんですが。
さてそこで本題です。カマキリの卵を孵したらどうなるかご存知でしょうか。
私は小学生の頃、木の枝に産み付けられたカマキリの卵を見つけて、その枝を折って家に持ち帰ったことがあります。そしてそれを虫かごに入れて放置していました。カマキリは秋に卵を産み、その卵が孵るのは翌年の春の事。小学生にそんな気の長い話は通用しません。虫かごに入れた卵のことなどすっかり忘れてしまいます。
ということで翌年の春。暖かくなり始め、ぽかぽかと気持ちの良い休日の昼下がり。せっかく天気もいいし、部屋の空気を入れ替えようと窓を開けました。網戸にして春の風を感じながら、漫画でも読んでいたと思います。ふと窓から外を見ると、電線に燕が止まっています。もう燕が来る季節なんだなぁ、と窓に近寄り、燕をよく見ようとしたときのこと。
視界の隅に、なにやら小さく蠢くものが見えました。網戸の端っこでもぞもぞしているそれは、隊長1cmほどの小さなカマキリの子どもでした。うわ、ちっせぇ~、カマキリってこんな小さい時からちゃんとカマキリの形なんだなぁ。あ、こっちにもいる。何匹か集まってるな。おっと、下のほうにもいるな。あれ、結構たくさんいるぞ。十匹以上いるな……
などと思いながら視線を動かしていくと、網戸の反対側に100匹を超えるであろうチビカマキリの大群が、上から下までびっしり連なってぞわぞわと蠢いているではありませんか。
ひゃああああぁ!
そう、去年の冬に虫かごに入れておいた卵からカマキリの赤ちゃんが孵化し、虫かごの蓋の網目を通り抜けて、外へあふれ出ていたのでした。私はそうっと網戸を開けて、チビカマキリたちが外界へ巣立っていくのを待ちました。最悪の場合は掃除機で吸うことも考えましたが、1時間と経たないうちに、彼らは春の日差しまばゆい外の世界へと旅立っていきました。
それ以来、私はカマキリの卵を見つけても、二度と家に持ち帰ることはしませんでしたとさ。
おしまい。
カマキリの生きかた: さすらいのハンター (小学館の図鑑NEOの科学絵本)
- 作者: 筒井学
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