先日、こんなニュースが飛び込んできました。はてなブックマークアプリに。
このニュース記事を要約するとこんな感じ。
・イタリア人医師が、脳死の身体提供者2人で試みる世界初の「ヒト頭部移植」に「成功した」と発表
・頭部移植手術はイタリア人医師の共同研究者・中国人医師の医療チームとともに中国黒竜江省ハルビン医科大学で行われた。
・死体の頭部を別の死体の脊椎・血管・神経とつなげることに成功した
・中国人医師は、今回の手術は(頭部移植手術)初のモデルケースで、実際の移植手術の成功には程遠いとしている
・伊中医療チームは手術成功の条件として、ドナーは手術24時間以内に生存しているものと定めている
要約してもわけがわかりませんが、ただ死体の頭部を挿げ替えただけで、何ひとつ成功していないと考えて差し支えないようです。死体で遊ぶんじゃなぁあい!
実際のところ、頭部移植というのは他の臓器移植と比べて相当難しい(臓器移植も難しいでしょうが)というのは素人にも想像がつきますよね。だけどもし本当にそんなことが実現したらどうなるんでしょうか。
臓器移植に関して、移植された人が臓器提供者の記憶や趣味嗜好を受け継ぐ、というような話があります。本当かどうかは知りませんが、心と身体が密接に関係していることは間違いないので、そんなことがあっても別段不思議ではないと感じます。
一部の臓器でもそんなことが起きるなら、頭以外の身体全体を移植したら、もう別人になってしまってもおかしくないですよね。ドナーの身体が勝って、移植されるほうの脳が負けるみたいな。身体を提供したドナーが実は頭部を提供されたような状態になるのかもしれません。
そこで思い出すのが、日本三大奇書のひとつとされる夢野久作の『ドグラ・マグラ』です。かの作品によれば、人の脳は単に身体全体の神経が収束した組織であって、管理者でも支配者でもない、といいます。人の体の細胞ひとつひとつに意識や記憶があり、脳はそれらの細胞同士を繋ぐ中継装置にすぎないのだと。ひとつひとつの細胞が単独の生物で、その集合体の一形態として人という存在がある。たしかそんな感じの考え方です。
だとすれば多数決の法則で、数の多いほうが主導権を握ることになる。頭部だけの細胞の集まりと、首から下の細胞の集まり、大きいほうが勝つに決まっています。
となると、寿命を延ばしたいと思った大富豪が、どこかの若い肉体を手に入れて自分の人生を延長しようとしても、若い肉体のほうが勝って、大富豪の人格はどこかへ消えるか、吸収合併されてしまうかもしれない。外面的には大富豪が若返って長生きしているように見えても、中身は別人になっているとしたら、皮肉ですねー。一体誰が長生きしたことになるのやら。
もうひとつ、頭部移植で脳裏をよぎったのが『マジンガーZ』に登場するブロッケン男爵です。あの人どうやって体と繋がってんのかな。Wi-FiかBluetoothかな。まさかの赤外線通信?それとも実は繋がっていなくて、体のほうはただのロボットなのかも。頭部移植と全然関係ねぇ。
それではまた!
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