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【いまさらシリーズ】『仮面ライダーウィザード』と『まどか☆マギカ』の類似点から、創作とは何かということに思いを馳せる。

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 子供が4歳の頃から仮面ライダーにハマりだして、今年で3年目。

 最初に見せた仮面ライダーは『仮面ライダー鎧武』でしたが、その頃はまだ戦隊ヒーローの『トッキュウジャー』のほうが好きでした。『仮面ライダードライブ』の頃も、まだ『ニンニンジャー』のおもちゃを欲しがっていました。風向きが変わったのは『仮面ライダーゴースト』から。この時期にスーパー戦隊を卒業し、仮面ライダーシリーズに関心が移行します。

 『仮面ライダーエグゼイド』から始まった、劇場版『平成ジェネレーションズ』には、過去4代前までシリーズを遡って”レジェンドライダー”たちが登場します。この作品に登場するレジェンドライダーの中で、子供ではなく嫁さんが興味を持ったのが『仮面ライダーウィザード』でした。主役のイケメン俳優がハートに刺さったのか、DVDを借りてきて子供と一緒に観始めました。ついでに僕も子供が寝てから晩酌のつまみに観ていたのですが、そこでふと気づいたことがあります。

 (この設定、まどか☆マギカに似てるなぁ)

 そう思ってネットで検索してみると、やはり放送当時から同じ話は持ち上がっていたようで、パクリだのなんだのと言われることもあったようです。両作品の類似点を挙げると以下の通り。

 ・メインキャラは魔法使い

 ・絶望によって心が壊れると何かを生み出す

 ・絶望から生み出されたものと主人公が戦う

 ・魔法使いへの転身に導く者が実は純粋な味方ではなく裏がある

 僕が気づいたのはこんなところでしょうか。メインキャラが魔法使いの作品はいくらでもあるので、重要な類似点は他の3つ、『絶望』というキーワードと、その絶望から何かが生み出されるという展開、そして味方だと思っていたキャラがそうでもなかったというオチ。あと、そいつが"白い"ところ。

 商業作品の宿命として、作品の出来不出来は売り上げが決めると言っても過言ではありません。その売り上げをどう狙うかで、道は大きく二通りに分かれると思います。ひとつはこれまでにない斬新さで、一か八かの大穴を狙う道。もうひとつは現在売れている、または売れそうなものを取り入れて堅実に当たりを狙う道。

 スーパー戦隊仮面ライダーも作品によってこの二通りの分類ができるのではないでしょうか。そういう観点から見ると、『仮面ライダーウィザード』は、『魔法少女まどか☆マギカ』のヒットを参考に制作されたと考えるのが妥当でしょう。しかし僕はそれをパクリだなんだと非難するのは馬鹿げていると思います。パクリだろうと二番煎じだろうと、商業作品という点では、売り上げこそ正義なのですから。

 それに、創作においてこれまでにない全く新しい作品を生み出すというのは、営利を伴わない芸術家ならともかく、それを種に飯を食おうとする者にしてみれば自殺行為です。これまでにない全く新しいものが、いきなり世間一般に受け入れられ、ヒット作になることなんてあり得ませんから。すべての創作は何かを継承した上に成り立つ、ということを忘れて、オリジナル至上主義とでも言うようなものを振りかざすのは、的外れな”潔癖症”としか思えません。

 売れる作品は、売れるだけの根拠を持った面白い作品です。それを取り入れた作品も、取り入れ方を間違えなければ面白い作品になるはずです。そうやって面白いものが積み重なって、組み合わさって、奇跡のように噛み合った時、また飛びぬけた面白さが生まれる。面白いものは、必ずしも新しいもの、オリジナルなものである必要はありません。少なくとも僕は、斬新でわけのわからない作品より、元ネタがわかっても面白い作品が観たいと思います。

 今回はここまで。ではまた!

 

小説 仮面ライダーウィザード (講談社キャラクター文庫)