そろそろクリスマスも射程距離に入る忘年会シーズンです。
クリスマスといえば、赤鼻のトナカイという歌がありますね。この季節はショッピングモールやら商店街やらでそのメロディを耳にする機会も増えることでしょう。
真っ赤なお鼻の トナカイさんは いつもみんなの 笑い者
というやつです。みんなに笑い者にされて自信をなくしたトナカイさんが、サンタクロースに慰められます。
暗い夜道はぴかぴかの お前の鼻が 役に立つのさ
「暗い夜道」を、子供の頃からずっと「暗いよ道は」だと思っていました。ラジオを聴きながら車を運転しているとき、この曲が流れてきたので、何気なく頭の中でリピートしていると、天啓のごとく閃きが。「暗い夜道」だったのか!どうりでちょっと変な歌詞だと思ってた。なんで倒置法なのかと。普通なら「道は暗いよ」になるところを「暗いよ道は」にする理由がわからない。
そうか「暗い夜道」だったのか。長いこと勘違いしてたなぁ。すっきりした。
ということを、去年も思ったような気がします。一年のうちわずかな期間しか耳にしない歌なので、忘れてしまっていたのかもしれない。下手をすれば毎年こんなこと考えてる可能性もある。毎年「暗い夜道」だったのか!って膝を叩いてるかも。そんな気がして、脳の老化が心配になってきます。そして毎年こうやって心配してるのかもしれない。
そう、本題は初めての忘年会でした。
高卒で就職した僕は、その職場で初めての忘年会を迎えました。マイクロバスに乗って、職場のみんなで一緒に料亭に向かい、座敷でどんちゃん騒ぎをしました。ほとんど男ばかりの職場だったので、マジ無礼講な雰囲気の気楽な忘年会でした。
まだ本格的にお酒を飲んだことがなかった僕は、ビール2本くらい空けたところで日本酒をもらい、ちびちび飲んでいました。いい感じに酔っ払って、料理もたくさん食べました。職場の女性は一人しかいなかったので、上司の要請で途中からその料亭の仲居さん2人も仲間に入りました。忘年パーリーはますます盛り上がり、お酒の消費量も加速度的に増えていきました。
ふわふわした気分で、なんとなくメガネを外して飲んでいると、途中から一緒になって飲んでいた仲居さんの1人が、僕の隣に来て言いました。
「あなた、可愛い顔してるのね」
当時まだウブなチェリーボーイだった僕はその言葉に照れてしまい、それを聞いていた先輩たちに囃し立てられて、ますます舞い上がってしまいました。その仲居さんがお酒をすすめてくるので、調子に乗ってぐいぐい飲み始めました。
「お、いけるねぇ」
「強いなぁ」
などと先輩たちにもおだてられ、ますますお酒が進みます。気がつくと大きいほうの徳利6本開けてました。たぶん2号徳利というやつで容量250mlかそこらです。合計でだいたい1.5リットル。今じゃとても飲めない量ですが、当時は自分の許容量というものを知らないので、飲めるだけ飲んじゃったんですね。
それから普通に尿意を催しまして、トイレに行ったわけです。普通に小用を足して、さあ戻ろうと思ったものの、戻れないんです。何かこう、胸の奥から込み上げる熱いものがありまして、ここから出てはいけない!って気分だったんです。
そこで初めてのリバース体験をします。あとはもう、未体験ゾーンな感覚が押し寄せてきて、便器を抱えたまま動けなくなりました。何度もリバースを繰り返しながら、便器の底を見つめ続けたあの頃。「便器の底に地獄を見た!」っていうサブタイトルでもつけてやろうかという体験でした。
いつまで経っても戻ってこない僕を探しに先輩がトイレを見にきまして、なんとか扉の向こうに返事をするんですが、まだ動けない。そのうちパーリーはお開きとなり、みんなが座敷からゾロゾロ出てきた頃にようやくトイレから出ることができました。
例の仲居さんが心配して声をかけてくれましたが、たぶん真っ青な顔してたんでしょうね。自分の顔から血の気が引いてるのがわかりましたから。額に冷たい汗が張り付いてました。
ヘロヘロになりながらバスに乗り、とりあえず会社まで戻ったんですが、心配した上司が酔いを醒ますために先輩数人と喫茶店へ連れて行ってくれまして。そこでコーヒー飲んで落ち着いたら帰ろうってなったんですが、僕はその喫茶店でもトイレに駆け込んで即リバース。即リバですよ。便器を見たら自動的にリバース。オートリバース。懐かしい。
結局、自分で帰るのは無理と判断され、家が同じ方面の先輩に送ってもらいました。先輩もかなり飲んでましたけど。あの頃はまだ道交法も甘かったですからね。今にして思えば恐ろしい話です。
よく考えたら、あの頃はまだ19…いや、僕はたぶん高校で留年したんですよ。きっとそうです。
これから本格的な忘年会シーズンを迎えますが、くれぐれも飲酒運転などしないでください。未成年の飲酒などもってのほかでございます。という話でした。