心は空気で出来ている

空気を読むな、呼吸しろ。

実を言うとNHK学園の通信講座でコミック原作を受講してました

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 久しぶりに前置きから書きますが、さっき、子供が寝る前にPHP研究所の「0歳からのすくすく絵本 ABCのえほん」ていうのを読んでたんですよ。もう4歳なんですけど、0歳「からの」って書いてあるから4歳でも別に問題はないはずなんですがね。

 カラフルなイラストに、英語の綴りと、ひらがなの読み仮名がふってあるんです。「Lion らいおん」とか「Monkey まんきぃ」とか。その中に三日月が描いてあって、横に「Moon むーん」と書いてあるんです。

 子供がそれを指差して「おつきしゃーん?」て言うんです。最初は何言ってるのかわかりませんでしたが「おつきさん」を英語っぽく発音してることがわかって大笑い。英語っぽいけどそれ日本語だからな。さらに「King きんぐ」を指差して「おうしゃまーん?」と語尾を上げてくるわけですよ。王様ね。その文字を指差しながら「ここに、お、う、さ、ま、ってかいてある」いやいや、絵は王様だけど、文字はキングだから。あんたまだ字読めないだろ。

 日本語を英語っぽく発音するっていう技をどこで身に着けたのかわかりませんが、4歳にしてそのおっさん臭いセンスに、我が子ながら少々感心したのでありました。できればちゃんとした英語のほうを覚えて欲しいものですが。

 さて本題は例のごとくタイトル通りで、もう20年以上昔の話になりますが、NHK学園の生涯学習講座で「コミック原作」っていうのを受講してたことがあります。講師はなんとあの小池一夫先生。テキストと小池式?原稿用紙が送られてきて、まずキャラを考えようとか、とにかくキャラを立てろとか、そんな内容の講座でした。

 で、最初に提出する課題が、キャラ設定とかじゃなくていきなり原稿を書くんですよ。いや、確かキャラ設定もあったかな?もうかなり前のことなんで記憶もあいまいですが、覚えているのはいきなりストーリーの導入部分を書いて提出したってことです。小池式原稿用紙に。いわゆるシナリオ形式ですが、上下二段に分かれてて、上の段にト書き、下の段にキャラのセリフを入れるっていう書き方だったと思います。

 僕が書いたのは主人公の少年が道を歩いてて、その脇の塀の上を黒猫が一緒に歩いてて、何かが起こりそうな予感、みたいな場面でした。ト書きのところにコマ指定みたいなことも書いて、これは原作の領分を越えてるかなと思いながら提出しました。帰ってきた添削には案の定、コマ割りまで指定する必要はありませんとか書いてあった気がします。それでもA+判定をもらって「俺には才能がある!」と、焔燃(ホノオモユル)みたいなことになっていました。添削内容が自分の予想通りだったことが、自尊心の暴走に拍車をかけました。

 しかしそのA+判定で満足してしまった僕は、たった1回課題を提出しただけで後が続かず、自然消滅的に講座をやめてしまったのでした。たぶん、悪い判定を出されても気分を害してやめてしまっていたと思います。どっちにしろ続かなかったってことです。学生時代、宿題が死ぬほど嫌いだった僕に、家で机に向かうなんてマネができるわけがありませんでした。

 その後しばらくして「やはり原作だけではダメだ!目指すは漫画家だ!」と、今にして思えばよくあんなの出したなと思うレベルのギャグ漫画を描いて、ジャンプに送ったこともありました。もちろん、それも1回こっきりで終わりました。

 そんな風に、若い頃になにかしらの創作を志した者としては、ドラマ「アオイホノオ」のホノオモユルの思考とか苦悶というのはすごく「あるある」で、共感できる話だと思いました。根拠のない自信とか、ちっとも原稿が進まないとか、気がついたら原稿が進んでないとか、妄想だけがどんどん進むとか、そんなところばかりですが。

 あの頃書いてたものや描いてたものが、もし今目の前に現れたら、耳の穴から煙出して死ねる自信がありますね。本当に、若さゆえの過ちっていうのは恐ろしいもんです。たとえそれが若さの特権であるとしても、限度ってものがありますからね。

 とは言いつつ、今でもこのブログにどうでもいいこと書いたり、おかしな絵を載せたりしてるのはどうなんだと自分でも思いますが、これは自覚してやってることだからいいんです。若い時は恥ずかしいことを無自覚にやってましたから。それが一番恥ずかしいです。だけど年を取ってそういう無自覚な暴走ができなくなるのも、少し寂しい気がします。だからってそういう状態を取り戻したいとは決して思いませんけど。

 若い頃には若い頃なりの、年を取ったら年を取ったなりのいいところがあるんだよってことで、今回の話を締めくくりたいと思います。

 おやすみなしゃーい?

ABCのえほん (PHP 0歳からのすくすく絵本)

ABCのえほん (PHP 0歳からのすくすく絵本)