心は空気で出来ている

空気を読むな、呼吸しろ。

そのジバニャンは偽物だけど、君たちの心の中には本物がいるんだね。

 3週間ほど前から、右足アキレス腱の内側に違和感があり、一時期違和感どころじゃない痛みがあり、それをかばうためか変なところに力が入り、右股関節まで痛くなり、それはすっかり治ってもう大丈夫かなと思っていたら、また右足アキレス腱の内側の違和感が復活してしまい、3週間も前の怪我をいまだにひきずるなんて、年齢的なものなのかなぁと少し寂しい気持ちで夏の終わりのハーモニーを感じました。ごくまです。

 うちには、いつの間にか嫁が買い揃えた妖怪ウォッチのぬいぐるみがあります。すなわち、ジバニャン、ブシニャン、トゲニャン、ロボニャンの手のひらサイズのぬいぐるみと、それより一回り大きいジバニャンとコマさんのしゃべるぬいぐるみです。息子はこれらのぬいぐるみがひとつづつ増えるたびに喜び、外へ出かける時には連れて行ったり、家ではおとうさんやおかあさんにぬいぐるみの役をやらせて話をしたりしています。

 先日のジバニャンイベントの時にも思ったことですが、着ぐるみのジバニャンは明らかにアニメやゲームの設定より大きい。体積比にして60倍くらいでしょうか(かなり雑な数字)。さらにしゃべらない、ろくに動かないという、あまりにも『本物』からかけ離れた存在です。それでも、子供たちは嬉々として列に並び、一緒に写真を撮り、握手をしていました。彼らは着ぐるみの存在をどう解釈しているのでしょうか。

 息子は、家にあるぬいぐるみが『偽物』であることはわかっています。ぬいぐるみを持ってきて「ジバニャンに聞いてみる」と言って、僕や嫁に対して、暗にジバニャン役を強制してくることからも、それは間違いありません。そしてジバニャンとして話しかけると、それまで全く言うことを聞かなかったのに、喜んで動いたりします。手を洗えとか、お風呂に入れとか、テレビを消せとか、そういうことを僕が言ってもなかなか動かないのに、ジバニャンが言うとすぐ動く。もちろん常にではありませんが、かなりの確率で効果を発揮します。

 この時、息子は僕ではなくジバニャンと会話し、ジバニャンの言うことを聞いています。しかしぬいぐるみは『偽物』だとわかっているし、僕がジバニャン役をやっていることもわかっている。息子の相手をしているジバニャンは、息子の心の中にいて、それは『本物』なんだろうと思います。その『本物』を、ぬいぐるみのジバニャンに投影しているのでしょう。

 その心理はおそらく、着ぐるみを見て喜んでいる子供たちと同じで、彼らも着ぐるみが『偽物』だとわかっているけれど、そこに心の中の『本物』を投影しているんだろうと思います。それがアンパンマンであれドラえもんであれ、同じ心理が働いているはず。ただ微妙なのは戦隊ヒーローや仮面ライダー。あれはテレビとほぼ同じ背格好で登場するので、本物だと本気で信じてる子供が結構いるような気がします。たまにちょっとお腹の出たヒーローがいたりしますけど。

 そして、そういう『偽物』とわかってて敢えて騙される、みたいな心理は大人にもあって、目の前にいるのは『偽物』だとわかっているけど、自分の中の『本物』を投影することで一喜一憂する、ということはよくあると思います。ドラマや映画、アイドルを見る時にはそんな心理が働いているのではないでしょうか。

 そう考えると、大人も子供と大して変わらない心理で娯楽を楽しんでいるわけです。そして子供は、意外と早い時期からそういう『楽しみ方』を身に着けるものなんだな、と思いました。

  ええっと、なんかいい感じの締めもオチも出てこないんで、これで終わります。この記事だけで何回"ジバニャン"言ったか数えてみても、別に楽しくはないか。

 以上!